シャトー・キルヴァン 2009
評価
2009VT ワイン・アドヴォケイト:92+点獲得
2009VT ワイン・スペクテーター:92点獲得
テイスティング・コメント
深みのある濃いルビー。粘性は高め。香りにはブラックチェリーやブラックベリー、プラム、スミレ、ミント、ペッパー、リコリス。そして樽からくるバニラやチョコ、エスプレッソ、トーストなどの芳しいオークのノート。奥へと引き込むような誘惑的な芳香、品が良く凝縮した果実感がただよう。他にタバコ、タール、茸、濡れた石、ミネラルのニュアンス。アタックはなめらかでボリューミーな果実味。濃厚で凝縮感があり、甘いブラックベリーにバニラ、ローストしたオークの風味が溶けこむ。目が詰まった、シルキーな舌触りで、豊富なタンニンが豊かな果実味をやさしく包み込む。酸味は穏やかかつ新鮮で、層状の舌触りとしっかりとした骨格を持つ。優雅さとパワフルさを備えたマルゴー、同時に純粋で近づき易さがある。味わい深く、ゆっくりと時間をかけて楽しみたい。バランスの良い仕上がり。合わせるお料理は、赤身肉を中心とした料理、鴨肉のロースト、ジビエ、豚バラ肉料理などがおすすめ。
2017年1月試飲
シャトー・キルヴァン
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
1995年までのキルヴァンもまたボルドーの1855年の格付けにふさわしい立場を維持しているとは言えない、マルゴーのシャトーの1つであった。マルゴーの多くの格付けシャトーと同じく、キルヴァンのこれまでの実績はぱっとしたものではなかった。私は昔からキルヴァンには批判的で、常に軽すぎて、さえない、精彩に欠けるワインは、格付けの威信や高い値段にそぐわないとみなしていたが、品質は1990年台半ばから劇的に復活してきた。
キルヴァンはライトボディで、コンパクトで、酸味の強いボルドーだったが、1990年代、それも、しばしば難しいヴィンテージのワインは、色が濃くなり、肉づき、ボディと力強さが増しているようで、印象的である。価格は、向上した品質ほどに上昇していないので、ボルドーの多くの格付けシャトーがつけている途方もない価格を嘆いている読者は、キルヴァンを見直した方がよい。
一般的な評価
キルヴァンは1990年代半ばから著しくよくなった。長年にわたって期待を裏切ってきたこのシャトーは復活し、少なくともその地位にふさわしいワインを、最上の時には三級に比肩するワインを毎年のようにつくっている。価格は依然としてリーズナブルである。力強さとエキス分がスタイルのワインである。「マルゴー特有のフィネス」が現れてくるかどうかは時の流れが教えてくれるだろう。