シャトー・ラ・トゥール・ラスピック 2006
メドック格付け第五級シャトー・オー・バタイエのセカンド。
テイスティング・コメント
エッジがオレンジがかった深いガーネット。プラムやブラックベリー、リコリス、ブラックペッパーの香りが広がり、タバコ葉や杉、スモークなど背景に繊細なオークのヒント。さらに炭、黒鉛、土のニュアンスが加わり複雑さが増していく。口に含むと、しなやかでスムーズ。柔らかな口当たりにもカベルネ主体らしいしっかりとした骨格が感じられ、タンニンは細やかで溶け込んでいる。質感があり、程よくスパイシー。ダークチョコやカカオなど芳しいフレーヴァーが余韻に残り、今もなお艶っぽい。合わせるお料理は、仔羊やラム肉のロースト、ジビエ、スモーク肉、焼き野菜、茸料理など。
2019年8月試飲
シャトー・オー・バタイエ
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
オー=バタイエは、ポイヤックにしてはあまり名の知れたシャトーではない。畑を管理するのはグラン=ピュイ=ラコストで暮らす、評判の高い有名人グザヴィエ・ボリーなのだが、このシャトーがポイヤックの世界で知られていないのは、もしかしたら生産量が控えめであることや、シャトーの建物がないこと、森の端の引っ込んだ場所にあって、ジロンド河やメドックの有名なワイン街道からかなり離れていることが原因なのかもしれない。
最近はグザヴィエ・ボリー率いる醸造の専門チームのもとで潜在能力が十分に引き出されるようになったが、このシャトーのワインは必ずしも期待されるほど安定しているわけではない。一般的に、ここの弱点はスタイルの軽さや過度のやわらかさに表れる傾向にある。たいていは最初の10年目を迎えるはるか以前に十分な飲み頃になってしまうが、これはポイヤックとしては異常なことだ。それでも、最近のヴィンテージ、特に2000年、1996年、1995年には、以前よりも偉大な凝縮感やグリップが見られるようになってきた。もっとも、私はよく思うのだが、オー=バタイエは真のポイヤックらしさよりはサン=ジュリアンらしさの方が強い。皮肉なことだ。このシャトーの誕生は1942年のことで、この時バタイエの創業当初からの畑から切り離されたのだが、バタイエといえば、味わい、特徴ともまぎれもなく古典的なポイヤックなのだから。
一般的な評価
オー=バタイエのワインは、いまだに消息通たちの秘蔵っ子という感がある。五級という格付けの価値は十分にあり、概して良好から秀逸で、健全なお値打ち品だ(グラン=ピュイ=ラコストのようなワインにはかなわないが)。