シャトー ダイディ マディラン 2015
醗酵: オークカスクにて(マセラシオン25日間)、MLF有
熟成: フレンチオーク樽(225L、新樽比率10%)にて24カ月間、コンクリート タンクにて12カ月間。
テイスティング コメント
深く濃い色調、グラスの底は見えない。紫・黒・ガーネット色。ブラックベリーやカシス、ドライプラムの香りとラベンダーやスパイス、コーヒー、スモーク、松、タバコのヒント。そして鉄、土っぽさに仄かにバルサミコのニュアンス。熟成香があらわれており複雑で、奥行が感じられる。口に含むとしなやかで、濃厚な果実味がありスパイシー。オークの要素が溶け込んでおり辛口で、ほろ苦い味わいに仕上がっている。アタックこそスムーズだが、マディラン特有の力強いタンニンが存在しなめらかな質感に加えてしっかりとした骨格をもつ。厚みがあり層状、凝縮感のあるフルボディ。アフターは長く果実とオークのフレーヴァーが心地よい。合わせるお料理は、ジビエ、牛・仔羊のロースト、焼き肉、バルサミコソース料理、シェーブルチーズなど。
2019年12月試飲(2014年ヴィンテージ)
シャトー ダイディ マディラン / ファミーユ ラプラス
AOCマディランの立役者。シンボルと称えられる銘醸シャトー ダイディ
■マディランのシンボル
ラプラス家はAOCマディランとして初めてワインのボトリングと販売を行った生産者です。それ以前にこの地域で生産されていたワインは全て、下位カテゴリー(今日でいうIGP)のワインとブレンドされていました。
1930年代後半、ほとんどの生産者がトウモロコシの混作・複合型(ポリカルチャー)から単一栽培(モノカルチャー)に切り替えていく中、ラプラス家はマディランからワイン畑が消えてしまわないよう、その流れに反して品質重視のワイン造りへと動き出しました。先々代フレデリック ラプラス氏は、AOCマディラン取得(1948年)にも尽力したマディランのパイオニア的存在です。その後、1960年代に跡を継いだ息子ピエール氏が区画整理と醸造技術の改良を推し進め、現在に至るワイナリーの基礎を築きました。
今日でもラプラス家はこの地域では先駆者として、高品質ワインの生産者として、そして何よりも、友好的で心の広いワイナリーとして非常に高く評価されています。
タナ種の未来を信じて
現オーナー、フランソワ ラプラス氏は独学でこれまでやってきました。若い頃に経営を学び、地元の銀行で数年働いた後、実家のワイナリーへ戻ってきました。彼は新しいワインを世界中から発見しようと常に好奇心をもっています。また、タナ品種とマディラン地域の、ワイン界での輝かしい未来を確信しています。
タナの個性を伴った魅力的なワイン
ラプラスにとっての目標は、マディラン地域とタナ品種の個性を伴った魅力的なワインを生産することです。それぞれのワインはそれぞれのカテゴリー内で優秀であるべきで、他のワインと比べて劣ったものを造るべきではないと考えています。
環境に配慮した農法を実践
■ビオロジックに近いリュット レゾネ(減農薬)を実践
完全に有機栽培をしないのは、ベト病が発生した場合、完全有機栽培では農薬を使うことが禁止されているため、病気に対応できなくなるからです。マディランの土地は非常に暖かく湿気も多いため、ベド病が発生する危険がとても高く、そのための準備が必要なのです。
■栽培についてのコンセプト
環境に配慮し、それぞれのテロワールの個性を尊重すること。栽培家によるブドウへの干渉は全て自然の法則に則り、化学的な手法には頼りません。除草剤、農薬、ボトリティスに対する抗生剤などはこれまでに一切使用したことがありません。(土壌のバランスを保つためにオーガニック肥料を使用することはあります。)
ラプラス家は高い株密度を非常によいものと認識しています(8,000株 / 1ha これは同AOCの平均株密度の2倍)。目標は、タナのセパージュ比率を年々高くしていくことです。タナはこの地域特有の非常にユニークな品種だからです。