ヴァンサン エ ソフィー モレ ブルゴーニュ ピノ ノワール 2018
区画はピュリニー、シャサーニュ、マランジュに隣接する3パーセルのアッサンブラージュ。
テイスティング コメント
艶のある紫 / ルビーレッド。香りはラズベリーやチェリー、プラムなどの果実に赤紫蘇、スミレ、シナモン。そしてミネラルのノート、鉄や僅かに土っぽいニュアンスも感じる。アタックはソフトでなめらか。十分に味濃く、エキス分のある果実味と丸みを帯びたタンニンが調和。酸味も溶け込んでおり立体的構造、はっきりとした輪郭をもつ。軽やかな口当たりながら気品がありフィニッシュに心地よい渋みを伴う。相応に飲み応えも。合わせるお料理は、仔牛・仔羊のロースト、ジビエ、鴨と茸の治部煮、エスカルゴなど。
2021年11月試飲
ヴァンサン エ ソフィー モレ
父親譲りのリッチで大柄な造り、ベルナール モレの直系後継者
シャサーニュ モンラッシェの銘醸家として、その名を知られたベルナール モレも引退。2006年を最後のヴィンテージとし、所有畑はふたりの息子、ヴァンサンとトマに分け与えられました。その長男ヴァンサンが、サントネイ出身の妻ソフィーとともに運営するドメーヌが、ヴァンサン エ ソフィー モレです。
ブドウ畑は双方の実家から継承し、総面積は20haとかなりの規模。全量元詰めとはせず、一部はネゴシアンに桶売りしています。白はシャサーニュ モンラッシェ中心、赤はサントネイ中心のラインナップとなり、ドメーヌの至宝である特級バタール モンラッシェやピュリニー モンラッシェ1級トリュフィエールも所有(弟のトマときれいに等分したため、それぞれ0.1ha、0.25haと小さくなりました)。サン トーバン1級シャルモワ(白)、マランジュ1級フュシエール(赤)にも畑を所有しています。
因みにシャサーニュの1級アンブラゼはもともとモレ家が大地主なうえ、ソフィーの実家であるメナジェ ベラン家も畑を有するため、このクリマの総面積5.19haのうち、4分の3に相当する3.79haをヴァンサンとソフィーが耕作しています。
醸造法は父ベルナール譲りです。圧搾後の果汁をデブルバージュの後、小樽発酵。新樽率は40%前後と比較的高い値ですが、それに対して熟成期間は10ヶ月と短めで、2週間に一度バトナージュを行います。
ヴァンサン モレイの造る白ワインはリッチでパワフルなスタイルが特徴です。赤ワインは無除梗の全房醸造、50%新樽を用いて14ヶ月熟成させます。たっぷりした果実味が前面に押し出され、タンニンも十分に溶け込んだ柔らかいスタイルです。
面白いのはバタール モンラッシェで前述のように弟のトマと畑を等分しましたが、ヴァンサンは斜面下部、トマは斜面上部を取得。畑の上下で差が生じないよう、ブドウの圧搾は一緒に行い、果汁を半分ずつ分けて各自別々に醸造を行っています(兄弟仲がよい証)。往年のベルナール モレを彷彿させるそのワインに、心をときめかすファンも多いはずです。