パトリック ジャヴィリエ ムルソー クロ デュ クロマン 2017
クロ デュ クロマンはヴォルネイ寄りの丘に位置する村名畑。斜面の下部となるため比較的表土は厚く、リッチで芳醇なムルソーを生み出します。グレープフルーツ、蜂蜜、洋梨のフレーバー。柔らかみがあり、粘着性も高め。ジャヴィリエのこの畑には樹齢100年の古木も植わっています。
テイスティング コメント
淡いゴールド/薄黄色。グレープフルーツ、レモンのコンフィ、洋梨などのフルーツの香り。そして白い花、ヘーゼルナッツ、ムスク、石、ミネラルのノート。味わいはなめらかで豊富なミネラルを軸にしっかりとした骨格をもち、ジューシーな果実味に溢れる。リッチさとしなやかさを合わせ持っており生き生きとした酸味が調和。伸びやかに口内を満たしていき、心地よい緊張感とボリュームある味わい。クラシカルなスタイルで総じてエレガントに仕上がっている。
合う料理 甲殻類、鮑、天ぷら、鶏肉のクリーム煮込み、フォアグラなど。
2022年12月試飲
パトリック ジャヴィリエ
ドメーヌ入りした娘が赤ワインを担当、次のステージへ向かうムルソーの造り手
ムルソーのパトリック ジャヴィリエも娘のマリオンがドメーヌ入りし、次のステージへと向かい始めました。ジャヴィリエ家はムルソーで何代も続く栽培農家の家系です。パトリックは1973年にディジョンの大学で醸造学のディプロマを取得し、翌1974年に初めて自分の責任のもと、収穫から醸造を行っています。
ドメーヌは1980年代から1990年代にかけて、ブドウ畑を急速に拡大させ、ムルソー、ピュリニー モンラッシェ、ポマール、そして特級コルトン シャルルマーニュ等を入手しました。さらに妻の実家の畑を賃貸耕作し、ペルナン ヴェルジュレスやアロース コルトンも手がけるに至っています。現在、賃貸も含めた所有畑の総面積は9haあまりです。
パトリック ジャヴィリエでは「キュヴェ オリゴセーヌ」「キュヴェ デ フォルジェ」と名付けられた2種類のブルゴーニュ ブランを造っていますが、前者はピュリニー寄り、後者はヴォルネイ寄りの区画から生み出されるワインです。テロワールの違いにより、前者はよりミネラルが強く、後者はリッチなスタイルとなります。
また村名ムルソーにも2つのキュヴェ「レ クルーゾ」と「テット ド ミュルジェ」というキュヴェがあり、前者はムルソー山の頂上の真下にあるレ クルーと1級ポリュゾの下に位置するレ クロトのアッサンブラージュ。後者は石切り場の下にある東向き斜面のカス テットと、ヴォルネイ寄りで西向き斜面のミュルジェ ド モンテリーとのアッサンブラージュです。性格の異なる区画同士の組み合わせが、独特のバランスと複雑味を見せています。
ドメーヌの看板である白ワインの醸造はいまだパトリックが譲る気配はありませんが、赤ワインの醸造に関しては2008年から、娘のマリオンが全責任を担っています。赤ワインの造りで特徴的なのは、ピジャージュを行わず、もっぱらルモンタージュで優しい抽出をすること。さらに2009年よりマリオンの発案で、さらに優しいデレスタージュをアルコール発酵の終わりに行うようになりました。
新樽率も適度で樽香がくどいこともなく、非常にバランスのとれたワインを造るジャヴィリエ。若いうちから楽しめる、スタイリッシュなムルソーです。