ポール カリヨン ブルゴーニュ シャルドネ 2016
ドメーヌ ポール カリヨンとは、実質的にピュリニー モンラッシェのドメーヌ フランソワ カリヨンです。遺産相続の関係で2014VTからドメーヌ名を息子のポールに変更しただけで、所有畑もワイン造りも従来と変わりはありません。現在はポール カリヨンは消滅し、フランソワ カリヨンとしてリリースされています。
テイスティング コメント
輝きのあるイエロー / ゴールドの色調。香りは桃、アプリコットなどフルーツのアロマと花梨、サンザシ、スパイスのノート。そしてヘーゼルナッツの芳しい香り、シェリーのようなニュアンスも感じる。口に含むとクリーミーで、ややオイリーな質感。瑞々しく澄んでおり上質な酸とミネラル感に富んでいる。芯のしっかりとした、洗練されたスタイルで格上のピュリニーを彷彿させる。引き締まったフィニッシュ、素晴らしい出来。
合う料理 海老、魚の網焼き・蒸し焼き、寿司、フグ料理、天ぷら、鶏肉のソテーなど。
2024年3月試飲
フランソワ カリヨン / ポール カリヨン
ルイ カリヨンといえば、ルフレーヴやソゼと並ぶピュリニー モンラッシェ屈指の造り手。ブドウ栽培農家としての歴史は1632年まで遡るという、由緒正しき家柄です。先代ルイの引退に伴い、2010年にドメーヌは兄弟ふたりの間で分割され、次男のフランソワが起こしたドメーヌがフランソワ カリヨンです。ワインを寝かせておくカーヴは曽祖父が使っていたもので、1520年に掘られたカーヴです。
1988年から父を手伝い、醸造を担当する兄ジャックの傍ら、おもにブドウ栽培に専念していたフランソワは、次第にビオロジック栽培へと傾倒。現在、自身のドメーヌのブドウ畑では除草剤を一切使用せず、トラクターや、場所によっては馬を使って土を鋤き返しています。
当然ながらドメーヌのポートフォリオはピュリニー モンラッシェが中心であり、1級にはコンベット、ペリエール、シャン ガン、ルフェール、フォラティエールを所有しています。ルイ カリヨン時代の特級畑ビアンヴニュ バタール モンラッシェは兄のジャックに譲り、新たにわずか1ウーヴレ(4a)ながらシュヴァリエ モンラッシェを取得しました。また、隣接するシャサーニュ モンラッシェやサン トーバンにも畑を所有するほか、コート シャロネーズのメルキュレイもラインナップしています。合計6.5haの所有畑はブルゴーニュでは標準的な規模ですが、3ha近くを村名ピュリニー モンラッシェが占め(スタンダードな村名ピュリニーのほか、樹齢45〜50年の単一区画ものとして”アンセニエール”がある)、その他のクリマはどれも数アールから大きくても0.5ha止まり。クリマごとに入念な醸造が可能となります。
赤ワインも少量造ってはいるものの、ドメーヌの真骨頂はやはり白ワイン。村名以下はステンレスタンクで発酵後、小樽熟成を施し、一級以上は小樽発酵・小樽熟成だ。いずれの場合でも酵母は添加せず、自生酵母による自然発酵を待ち、4週間から6週間をかけてゆっくりと発酵させます。その後のマロラクティック発酵もスターターを加えないため、乳酸菌の働き次第。年によっては気まぐれで起きないこともあるといいます。クリマごとに新樽率は異なり、ピュリニー モンラッシェの1級で25%、村名やサン トーバン1級で10%前後。樽熟成期間は12ヶ月に留め、その後、ステンレスタンクに移して6ヶ月の熟成を続けます。澱との接触は長めにしつつ、樽香は抑えるという、バランスを重視した熟成法になります。
こうして出来上がるフランソワ カリヨンの白ワインは、白い花や柑橘系の果実を思い起こさせるデリケートな風味。口に含むと生き生きとした酸とピュアなミネラル感が広がり、ピュリニーの造り手らしく、曲がったところのないとてもストレートな印象を受けます。
ドメーヌ フランソワ カリヨンは、遺産相続の関係でドメーヌ名を息子ポールに変更し、所有畑もワイン造りも変わらず、ドメーヌ ポール カリヨンとして、2014ヴィンテージからスタートさせています。