シャトー プリューレ リシーヌ 2015
テイスティング コメント
艶、深みのあるガーネットの色調。香りはブラックベリーやブルーベリー、カシスなどの果実香にバラ、クローブ、シナモン、ローストしたオークのノート。チョコレートやココア、さらに湿った土のニュアンスも。口当たりは力強く、それでいてしなやかさを合わせもつ。甘美な果実味と豊富なタンニン、酸も穏やかでバランスがとれている。しっかりとした構造をもち、リッチでまとまりが良い。優雅に溶け合うタンニン、シルキーで豊かさと深みが感じられる。
合う料理 ローストビーフ、牛フィレ・鴨肉のロースト、ジビエ、豚バラ肉料理、茸のグリエなど。
2024年3月試飲
シャトー プリューレ リシーヌ
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
プリウーレ=リシーヌは、メドックのメジャーなシャトーの中で、無休で観光客を受け入れている数少ないシャトーである。世界的に有名なワイン評論家でワイン商、ワインの権威、そしてフランス・ワインのプロモーターで、1989年に亡くなったアレクシス・リシーヌの愛する住まいだった。リシーヌは1951年にプリウーレを購入し、ブドウ畑を3倍にするなどの広範囲な改良プログラムに着手した。常々思うことだが、ここでの収穫は信じられないほど込み入った作業になるに違いない。というのも、プリウーレ=リシーヌのブドウ畑は最も分割されているものの1つで、広大なマルゴーのアペラシオン中に何十もの区画が広がっているからである。
プリウーレのワインは、現代的だが知的なスタイルにつくられる傾向にある。しなやかで熟成が早いが、タンニンを十分含み、良好なヴィンテージでは、8年から12年はよく熟成するほどの実力がある。価格はいつも手頃だ。
父親の死後、若きサシャ・シリーヌが、このすてきな蔦に覆われた、ベネディクト会の小修道院跡を引き継いだが、1999年にパランド家に売却した。バランド家の目標は、より凝縮感とボディがあり、長持ちするワインを生産することだった。プリウーレ・リシーヌのヴィンテージは、格付けシャトーの評判の割にいささか軽いことがしばしばあるという、多くの批評家の主張に応えての変化であろう。ワインの品質向上に向けてこうした試みを監督するために、右岸のワインつくりの権威、ステファヌ・ドレノンクールが迎え入れられた。彼の哲学である介入最小限主義は、澱との接触期間を長くとるという信条とともに、ここのワインにより多くの果実味と、舌触りと、個性をもたらすことだろう。
一般的な評価
プリウーレ=リシーヌの名声は、ワインそのものの品質よりも、前の所有者アレクシス・シリーヌの個性に負うところのほうが大きいだろう。シャトーは、投入した多額の資金と新しい所有者の努力が実を結び始めたところである。ワインは信頼のおけるものだが、キルヴァン、ディッサン、マレスコ・サン=テグジュペリのような前途有望なシャトーに追いつくには、まだ課題がたくさんありそうだ。