シャトー クロワ デュ トラル 2017
醗酵: ステンレスタンク
熟成: オーク樽熟成12カ月(新樽30%)、瓶熟成18カ月以上
テイスティング コメント
艶のあるガーネットの色調。香りはブラックチェリーやスグリ、ペッパー、上品な樽のニュアンスが絡み合う。仄かなバニラにトースト、鉛筆の芯の香りなど。さらにナツメグやクローブなどのスパイスの香り、土っぽさ。味わいはなめらかで円やかなタンニン、繊細な酸味が優しく溶け合いバランスがとれている。力強い果実味で、しっかりとした構造。きれいな輪郭をもつエレガントな仕上がり。
合う料理 牛・鶏肉のロースト、ビーフシチュー、牛煮込み料理、ジビエなど。
2024年4月試飲
シャトー クロワ デュ トラル
シャトー クロワ デュ トラルは、右岸の雄、フランソワ ティエンポン氏がコンサルタントを行うオー メドックのブルジョワ級。力強い果実感を備えつつ、右岸を想わせるようなエレガンスが余韻に広がる魅惑的な味わい。
銘醸地オー メドックで最高の土地
「広いオー メドックの中でも標高が高く、川近くに位置しているクロワ デュ トラルの畑は、同エリア内最高の条件が整った場所だ」とフランソワ ティエンポン氏は語っています。これらの条件が整うことで、1級シャトーが霜被害に遭っているような年でも、クロワ デュ トラルは霜の影響なく良質なブドウを生産することが可能です。コス デストゥルネルやモンローズなどのスーパーセカンドが位置するサン テステフからすぐ北にワイナリーはあります。これだけ好条件が整った場所ですが、格付け外というだけであまり注目されていない場所。フランソワはこの土地に惚れ込み、ここでのワイン造りに励んでいます。
ティエンポン家
「ル パン」を手掛ける「ティエンポン」家
ポムロールの銘醸「ル パン」やサン テミリオンの銘醸「パヴィ マカン」など、右岸のトップ シャトーを手掛けるティエンポン家。ポムロールやサン テミリオンに限らず、リーズナブルなワインも手掛けており、コート ド フランの地で生み出した「ピュイグロー」はあまりにも有名な代表作です。一族の中でも、「ヴュー シャトー セルタン」のオーナーでもあるフランソワ氏は、醸造学校を卒業後、海外を渡り歩き学んだワイン造りの経験を活かし、高級ワインのノウハウをお手頃な価格のワインに活かしています。
ティエンポン家の歴史
ティエンポン家はベルギー出身の家系で、1847年からワイン商としてワインの販売に携わっていました。1924年、ジョルジュ ティエンポン氏(初代。Georges Thienpont 氏(1881-1960))がヴュー シャトー セルタンを購入し、ボルドーでワイン造りを始めました。その後、同じく所有していたシャトー トロロン モンドを1930年に売却。これは、世界恐慌の煽りで経済的に苦しく、当時はヴュー シャトー セルタンより名前が知られており価格の高かったことからトロロン モンドの方を売却するにいたったということのようです。
現在では右岸を中心に(コート ド フラン、カスティヨン、サン テミリオン、ポムロール、アントル ドゥ メール)多くのワインを手掛けるようになっています。ジョルジュ ティエンポン氏には13人もの子供がいらっしゃり、そのうちの何人かがワイン造りに関わっています。更にその次の世代がジャック ティエンポン氏やフランソワ ティエンポン氏などの“現役世代”となります。
ティエンポン家が所有(または経営)する主なシャトーの分布
ティエンポン家のワインの特徴
端的に言うと「右岸で」「家族経営品質で」「小規模生産」というのが特徴のティエンポン家。彼らが造るワインには、以下のような特徴が共通して感じられます。
・完熟した果実味(青みを全く感じないが、決して過熟ではない)
・メルロの肉厚で柔らかい果実味+カベルネ フランの華やかさと骨格
(ティエンポン家はカベルネ・フランを大切にしています)
・しっかり感じる美しい酸味
・熟れて質の高いタンニンが緻密に詰まっている
・良い樽感があるものの強すぎず、果実味を大事にしている
・アフターに口がスーッとするフレッシュ感とミネラル感
こういった特徴が相まって、綺麗にバランスが取れ、まとまりがある味わいのティエンポン家のワインは、単体で飲んでももちろん美味しいですが、お料理ともよく合います。