ブラゾン・ディッサン 2012
1995年より、最初から別のブランドを造るべくして造り始められた、シャトー・ディッサンのセカンド・ラベル。マルゴーA.C.の若木の区画のキュヴェを中心に造られますが、熟した区画のキュヴェを程よくブレンドすることにより、早くから飲み頃で、マルゴースタイルも十分に楽しめるスタイルとなっています。
【テイスティング・コメント】
紫がかった深いルビー。粘性は中程度。香りには熟したプラムやカシス、ブラックチェリー、リコリス、ブラックペッパーやクローブなどのスパイスが混じり合う。杉、ドライハーブ、微かにミントのヒント。加えて樽由来のバニラ、トースト、コーヒーなどの芳しい香り、タバコ、落ち葉、湿った土、ミネラルのニュアンスが複雑性を与える。アタックはソフトでなめらか。凝縮感のある濃厚な果実味で丸みを帯びたタンニンが豊富に絡み合う。タニックながらしなやかさを兼ね備えており酸とのバランスが秀逸。ふくよかなボディ感、しっかりとした骨格を持ち、味わいはジューシーでスモーキーなオークやバニラの風味が溶け込む緻密な構造。二日目、三日目と果実味がより開き熟度の高さが窺い知れる。熟れたタンニンがバックボーンとなり、長い余韻とともに深いコクが堪能できる。
※2016年3月試飲
■シャトー・ディッサン
シャトー・ディッサンの歴史は長く、古くは12世紀頃から歴史の表舞台にその名が登場します。有名な逸話として、1152年、後のイギリス王ヘンリー3世とアリエノール妃の結婚式に供された記録が残っています。メドックでも有数の美しさを誇るシャトーは、17世紀に建てられた歴史あるものです。1851年にはブランシー家が、1865年からはロイ家がシャトーの所有者となり、特にロイ家によっては素晴らしいセラーが築かれ、また1855年のメドック格付第3級に恥じない高い品質のワインが造られるようになります。
しかしその後は大戦の影響を受け、長きに亘り低迷が続きましたが、1945年にボルドーでも有数のネゴシアン一族であるクルーズ家がそのオーナーとなり、設備や畑の改善に取り組み始めます。そして1994年には3代目オーナーとなるエマニュエル・クルーズ氏がシャトーに加わり、翌95年から大規模な投資を敢行。才能溢れる彼の手によって、シャトーは瞬く間にかつての輝きを取り戻し、毎年ワイン・アドヴォケイトやスペクテーターなどの評価誌でも高く評価されるようになりました。2013年からは資産家であるジャッキー・ロレンツェッティ氏が共同所有者に名を連ねています。
ディッサンを牽引する原動力!シャトーにかつての輝きを取り戻した立役者
現オーナーであるエマニュエル・クルーズ氏は、1945年にシャトー・ディッサンのオーナーとなったエマニュエル・アンリ・ジョルジュ・クルーズ氏の孫にあたり、同じ「エマニュエル」という名を受け継いでいます。1994年にシャトーに加わり、98年には30歳という若さで歴史あるシャトー・ディッサンのオーナーに就任。シャトーの運営とワイン造りの両方にその才能を発揮し、素晴らしい品質のワインを世に送り出し続けています。
エリック・ボワスノ氏がコンサルタントを務める
現在左岸で活躍のエリック・ボワスノ氏がコンサルタントを務めている事もこのシャトーの品質の向上に一役買っています。エリック・ボワスノ氏はラフィット、ラトゥール、マルゴーといった超一流シャトーをコンサルタントするボルドー最高の醸造コンサルタントです。コンサルタントの哲学を押し付けるやり方ではなく、それぞれのシャトーの哲学を尊重し、より良くすることをモットーとしているため、各シャトーの個性が存分に発揮されたワイン造りができると高く評価されています。
エマニュエル・クルーズ氏