シャトー・ダルマイヤック 2009
評価
2009VT ワイン・アドヴォケイト:92点獲得
2009VT ワイン・スペクテーター:92点獲得
テイスティング・コメント
深みのあるガーネット。粘性は中程度より高め。香りにはプラムやブラックチェリー、小粒の赤い実、オリーブ、ドライハーブ、ブラックペッパー。そして繊細な樽香(バニラ、トースト、白檀)、湿った土、ミネラルのノート。スモーキーなニュアンスと洗練された感があり、トリュフやタール、コーヒーなどの複雑なブーケが続く。アタックはソフトでなめらか。舌触りはしっとりとしており、甘いタンニンと濃密な果実味、上品で穏やかな酸味が調和。ミネラリー、かつアルコール分が充実し、しっかりとした構造と質感のある豊かなボディ感を備える。味わいはドライでまっすぐな個性、風味の広がりの印象はまさに紳士的。エレガンスで縁取られたバランスの良い仕上がりは、優に格付けの枠から飛び抜けている。今飲んで十分に美味しく、さらなる熟成のポテンシャルも感じられる。
2017年1月試飲
シャトー・ダルマイヤック
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
ダルマイヤックは、故フィリップ・ロートシルト男爵がポイヤックに所有していた3つのシャトーのうちではいまだに最も知名度が低く、一般消費者にとっては最もわかりづらいシャトーである。男爵がこのシャトーを手に入れた1933年当時はムートン・ダルマイヤックと呼ばれていたが、1956年にムートン=バロン=フィリップと改称され、1975年にはこの翌年に他界した男爵夫人のためにムートン=バロンヌ=フィリップと改められた。1989年のヴィンテージからは再びダルマイヤックという名称に戻っている。セラーはムートン・ロートシルトに接しており、醸造は著名なムートン・ロートシルトとクレール・ミロンも監督してパトリック・レオンとエルヴェ・ベルローが率いる醸造チームが行っている。
畑の樹齢は印象的だが、ワインのほうはたいがい比較的軽く、すぐに飲み頃になるし、複雑さや個性、寿命の点では2つの兄弟分にあっさり引き離されてしまう。もっとも、ワインの品質を向上させようとする風潮は昔から目についていた。1982年の品質は間違いなくヴィンテージ自体によるものだろう。本当に品質が向上し始めたのは上質な1985年からだが、それ以降、向上は続いているし、1990年代半ば以降は現実的な価格のついた秀逸なワインをたて続けに生産している。
一般的な評価
このシャトーは近年大幅によくなり、昔より良好な凝縮感や濃厚さが見られるようになった。1989年までは一般的に健全だが興奮させられるようなものではなかったのだが、1995年以降では一貫して優良から秀逸となっているのだ。安定した仲間であるムートン・ロートシルトとクレール・ミロンの陰になっているおかげでいまだにリーズナブルな価格で手に入れることができる。抜け目のない消費者ならば、特に良好なヴィンテージのものは探し求めたいところだが、ご注意あれ。手遅れになるくらいなら早めに飲むことだ。四級に格上げできるシャトーである。