ヴィーニンガー ピノ・ノワール セレクト 2013
ニュスベルクのドナウ川を挟んで対岸、醸造所のあるドナウ川の東側にあるビザンベルクのピノ・ノワールを使用。石灰岩の岩塊の上に砂岩、黄土の表土があるビザンベルクは風通し良く雨量は少なめでピノ・ノワールに適した土壌です。5日間の低温浸漬の後、天然酵母にて発酵。25%を新樽に残りは2回目~3回目使用のバリック樽にて24か月熟成。無清澄、無濾過にて丁寧に瓶詰された味わい深い一本です。
テイスティング・コメント
朱色がかったルビー。粘性は中程度より高め。アロマはラズベリーやチェリー、オレンジ、リコリス、紅茶、少し甘さのあるチャーミングな香りで軽いロースト香がアクセント。木樽由来の香木やコーヒー、チョコ、シナモンの香りがふわりと薫る。そしてカカオ、タバコの葉、落ち葉、大地などの香りが続き、本質はそのままに大人びた印象を醸し出している。口に含むとなめらかで鮮やかな果実感。凝縮した風味ながら透明度が高く伸びやかで、アルコール感が口中を支配する。果実味は純粋で、フィネスを感じる豊かな酸に縁取られ、キメ細かなタンニンと鉄のようなミネラルを含んでいる。質感があり、全体に明朗なミディアムボディで、エレガントな中にも果実のもつ力強さと、土地から湧き上がるエネルギーが感じられる。余韻の長さも突出している。合わせるお料理は、仔羊や鴨肉のロースト、鴨鍋、鶏肉の治部煮、茸料理、白身魚の天ぷら、寿司など。
2018年12月試飲
ヴィーニンガー
世界で唯一、首都にある商業ベースのワイン生産地域、それがウィーンです。現在も300軒ほどのワイナリーがあり、総栽培面積は700haほど。しかしながら、そのほとんどがウィーンの名物といえるワイナリーが経営する季節限定のレストラン「ホイリゲ」にて消費される安価なワイン造りに重きをおいています。
その彼らの名物ワインがゲミシュターサッツといわれる混植混醸のワイン。約100年前を振り返るとそのワインの大半はこの製法にて造られた白ワインでした。当時は名声を得て、ウィーンが誇るワインとして確固たる地位のあった銘柄でした。しかしながら、60年代から70年代にかけて潤沢な観光産業向けの大量消費用ワインへと姿を変えていくのです。
その輝かしい歴史の復活を目指しているのがこのヴィーニンガー醸造所。1999年より念願であったウィーンの街が一望できる最高の畑ニュスベルクを譲り受け、世界に誇れる最高品質のゲミシュターサッツ造りを行っています。ヴィーニンガー氏の10年以上にわたる尽力により、2013年にはウィーンのゲミシュターサッツはDAC(原産地呼称)として認可されるまでになりました。
2000年代からはピノ・ノワールの栽培にも力を注いでおり、グラン・キュヴェはシンガポールのコンペティションにて世界No1.の称号を得ています。