レ・マッキオーレ メッソリオ 2005
初ヴィンテージ 1994年。単⼀品種から造られる3つのクリュの代表的なワイン。メルロは世界的に注目をされているブドウ品種であり、ボルゲリの気候ならではの果実味溢れたワインを造りだしています。フラッグシップはあくまでもパレオですが、世界的な評価が⾼いためこちらの注目度も非常に高くなっています。メッソリオは栽培⾯積に対して収量が低く、実際に⽣産量が非常に少ないワインです。潜在的な⽣産ポテンシャルを100とすると、実際の⽣産量は10%〜20%しかワインにしていないそうです。
醗酵: オーク樽/主醗酵後、オーク樽にてマロ・ラクティック醗酵
熟成: オーク樽熟成 16-18カ月(50%は225L、50%は112L、新樽比率100%)/瓶熟成 18カ月以上
評価
2005VT ワイン・スペクテーター: 95点獲得
2005VT ワイン・アドヴォケイト: 93点獲得
2005VT ヴェロネッリ2009: スーパー3ツ星獲得
2005VT ドゥエミラヴィーニ2009: 5房(グラッポリ)獲得
テイスティング・コメント
エッジが褐色がかった濃いガーネット。プラムやブラックベリー、ドライイチジクの香りに、煮詰めたオレンジやバルサミコ、タバコ、白檀、コーヒー、チョコ、バニラのヒント。さらに腐葉土やトリュフ、皮革などの熟成香。仄かにメントールの香り、シナモンやクローブなどスパイスのニュアンスも感じる。口に含むとスムーズで、厚みがあるリッチな味わい。芳醇な果実味と緻密なタンニンが溶け合い、なめらかな舌触りとコク、質感がある。しなやかな酸とのバランス。骨格はもちろんあるが、熟成によりマイルドで全体に繊細な印象を持つ。何より官能的で、優美な曲線美が魅力のメルロ。アフターの余韻が長く続き温かみが感じられる。合わせるお料理は、牛フィレステーキ、鴨肉のロースト、すき焼き、ビーフシチュー、ジビエ、茸料理、熟成チーズなど。
2020年4月試飲
レ・マッキオーレ
ただ一人、ボルゲリ地元の農家として世界に名を轟かす造り手
『レ・マッキオーレ』は、「サッシカイア」、「オルネライア」などイタリアを代表する名だたるスーパー・プレミアム・ワインを生み出す銘譲地・ボルゲリの地に門を構えるワイナリー。商家の息子として誕生した巨匠、故エウジェニオ・カンポルミ氏が、1983年に設立しました。彼は貴族がその大半の地を所有する中にあって、ただ一人、地元の農家として世界的なワインを擁するカンティーナを造り上げました。
1993年、「パレオ・ロッソ '89」発表。これがレ・マッキオーレの華麗なる歴史の幕開けとなりました。その後、メルロ、シラーによる単一品種でのワイン、それぞれ「メッソリオ」、「スクリオ」を世に送り出し、これらが押しも押されもせぬプレミアム・ワインとしての名声を確立すると、これらに引き続いて2001年、それまでサンジョヴェーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨン等との混醸であった「パレオ・ロッソ」を、カベルネ・フラン100%の3つ目のクリュとして完成させました。エウジェニオが一番初めに自分の畑に植えた記念すべき葡萄、ボルゲリという土地における大いなる可能性を信じた品種であるカベルネ・フラン。何年もの時間をかけ、少しずつその使用比率を高め、彼自身が最後にボトリングを行った2001年ヴィンテージでついに実現させた、待望のカベルネ・フラン100%のワインでした。しかし、皮肉なことに、これが生涯をワイン造りに捧げた男の最後のヴィンテージとなってしまいました。
エウジェニオは生前、『ビジネス目的でワインを造っているのではない』と公言しました。世界的な名声を獲得してからも、とにかく自身で納得のいく品質・味 わいのワイン造りにこだわったエウジェニオ。純粋に、「より多くの人に自分たちのワインを楽しんでもらいたい」と願っていたのです。エウジェニオの哲学は 畑にあり、自然にあり、そして人にありました。自然を尊重し、土地を守り、人の個性を出す。そして、ブドウの本来の個性を出すこと。この考えはまた、レ・ マッキオーレがスーパー・ワイナリーへの階段を駆け上がる最も大切な時期をともにした“スター・エノロゴ”、ルカ・ダトーマの考えでもありました。
そして、2002年。多くの人に愛され、尊敬を集めていたエウジェニオの早すぎるともいえる死。そんな悲しみもさめやらぬ中、レ・マッキオーレの買収に数多くの資本家達が名乗りをあげたといいます。莫大な金額でのオファー。しかし、妻のチンツィアはこの土地を手放そうとはしませんでした。エウジェニオと共に築き上げてきたもの、彼の意思と情熱は、そのまま彼女の意思と情熱でもあったのです。
現在、蔵では設立当初からの彼の右腕であり最高の理解者でもあったチンツィアが、家族と共にエウジェニオの意思を受け継ぎ、ワイン造りを行っています。エウジェニオと共に今もなお前進し続けるチンツィア。彼女は語ってくれました。「私は今でもエウジェニオと一緒です。私の考えは彼の考えだと強く感じます。これは彼が亡くなる前からもずっとそうでした。そしてこれからも・・・」。
新たなスタートを切った2002年は、天も彼の死を悲しんだのか、雨が多く大変難しい年でしたが、「パレオ・ロッソ2002」や「メッソリオ2002」が複数のイタリアワイン専門誌で最高評価を獲得。そして遂には「メッソリオ2004」がワイン・スペクテイター誌で「100点」を獲得し、頂点にまで達するという快挙を成しえたのです。
マッキオーレは職人のワイナリー
マッキオーレの重要なポリシーはテロワールを最大限尊重し、最高のブドウを収穫し、高い品質のワイン造りを目指すことです。それには細かい作業を正確に実行し、こつこつ経験を積み上げ、研究していくことが重要です。素晴らしいワインを造るには、素晴らしいブドウを作ること。素晴らしいブドウを作るには畑を知り尽くすこと。毎年気候が異なると、毎年、樹のライフサイクルも異なります。畑の手入れの経験をつむことが大切ですし、毎日ブドウの状態を見ることも重要になります。マッキオーレでは自分の子供を育てるように、畑のブドウの樹を大切にしています。マッキオーレは毎日畑に入って手入れをしています。畑に何か異変があったら、すぐに対応しています。他のボルゲリのワイナリーからも、「ボルゲリで最も美しい畑」と言葉を頂いたこともありました。
「サッシカイアはボルゲリのスター。ボルゲリが生まれたのは、サッシカイアのお陰です。スーパー・タスカンが生まれたのもサッシカイアのお陰。オルネライアは素晴らしいワイナリーで、ボルゲリでも規模がとても大きく、卓越したブレンドワインを造り、世界にボルゲリの偉大さを伝えています。」と語るチンツィア・カンポルミ氏。
それに対してマッキオーレは職人ワイナリーと言えます。職人と同じく、数量は造れないが、その道を追求し、最高のワインを造るために、小さなことからこつこつと磨き上げ、ボルゲリの偉大さを信じて、最高のものを目指したワイン造りを行っています。