レイモン デュポン ファン ピュリニー モンラッシェ レ シャルム 2020
ムルソー シャルムに隣接する0.30haの区画。味わいにムルソーらしさがあり、非常に魅力的で丸みがある。桃やネクタリンの完熟したアロマに、塩実を感じるミネラルが香る。口の中では素晴らしいボリューム感と力強さがある一方、美しい酸とミネラルが生み出す緊張感がワインに張りを与えている。フィニッシュには柑橘果実の皮のほろ苦さとともに力強い余韻が楽しめる。
醸造・熟成: バリックで発酵、18ヶ月(新樽10%)熟成
インポーター資料より
レイモン デュポン ファン
生粋のヴィニュロン レイモン
1979年、ブルゴーニュに代々続くドメーヌの5代目に生まれたレイモンは、幼い頃より父や祖父の傍らでワイン造りに携わってきた生粋のヴィニュロンです。ボーヌの醸造学校で学んだ彼は卒業後、各地でワインの修行を積むことを考えていましたが、19歳の時に父ミシェルが大きな事故に遭い、ドメーヌは存続も危ぶまれる状態に陥ってしまいました。そのため、修行に出ることよりも、父のドメーヌに参加することを決意。幸いにもその後ミシェルがワイン造りを続けられるほど回復したため、21歳でエノロゴの資格を取得し、2001年に自らの名を冠したドメーヌを設立しました。当初はブルゴーニュ ショーム デ ペリエールとオーセイ デュレスの約5haの畑のみでしたが、現在ではローラン クレールと祖父ジャン デュポンから借り受けた計10haの畑からのワインを手掛けています。
レイモンが「とりわけ興味深い」と語るのは、ブルゴーニュ ショーム デ ペリエール。このキュヴェにはムルソーの1級畑ペリエールとジュヌヴリエールに接する、本来村名クラスの区画(ムルソー ド ダヌ)のブドウが使われています。1975年に休耕地だったこの畑を購入し、植樹する際に「根を十分に張らすためには表面の土の層が浅すぎる」と考えた祖父のジャンは、他の区画の土を20cmほど足すことをINAOに申請し、許可を得ました。しかし、この一件は他のムルソーの生産者の間でスキャンダルとなり、彼らの抗議によってACブルゴーニュに格下げされたという逸話を持っています。
現在も格付けはACブルゴーニュのままですが、その時植えられたブドウの樹は地中深くまで根を張って、ド ダヌとペリエールのテロワールの恩恵を大いに受けた実を結び、『最高のブルゴーニュ ブラン』と誉れ高いワインを生み出しています。
ボリュームとエレガントさの絶妙な調和
全てのキュヴェにおいてワイン造りの方法に差を設けず、ブドウ栽培にはリュット レゾネを採用。収穫は区画ごとに熟度を見極めてスケジュールを決定し、熟度はもとより酸とのバランスも重要視するため、ボリュームとエレガントさの絶妙な調和がワインに与えられます。
ミシェルの下から独立後、モンテリー、ムルソーと場所を移した後、2006年にムルソーと国道を挟んだ向かい側の小さな村タイィに腰を落ち着け、自らが納得のいくワイン造りを探求しています。専門評価誌でもたびたび取り上げられており、『ギド アシェット』では2007-2009年版と3年連続して掲載され、特に2007年版ではショーム デ ペリエール2004が「今年のギド アシェットで扱ったブルゴーニュ ブランの中で一番出来が良い」という高評価を受けています。
しかし、レイモン自身はメディアの評価をあまり気にかけておらず、そんな大らかな彼の性格が反映された美しいワインの数々が、さらに飲み手を魅了しているのです。