シャトー・グラン・ピュイ・デュカス 2003
テイスティング・コメント
エッジがオレンジがかった深いガーネット。粘性は中程度より高め。香りにはカシスやブラックチェリー、ブラックベリーなどの果実香にペッパー、アニス、ハーブのヒント。そして木樽由来のバニラやチョコ、キャラメル、杉、スモーキーな香り。カカオやタール、リコリスなどの豊かなブーケが広がる。アタックはなめらかでソフトな印象もポイヤックらしいタンニンの力強さ、存在感がある。丸くしっとりとした舌触りで、舌にまとわりつくような粘性とともに凝縮した風味とコクが感じられる。酸度は低く、ふくよかなボディ感がありしっかりとした骨格をもつ。ポイヤックの中では柔らかくエレガントなスタイル。現時点がピーク(個人的)、バランスのよい仕上がり。合わせるお料理は、仔羊や鴨肉のロースト、牛肉のカルパッチョ、ジビエ、フォワグラ、キノコ料理など。
2018年9月試飲
シャトー・グラン・ピュイ・デュカス
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
ポイヤックの第五級は、消費者やワインマスコミからはおおむね無視されてきた。グラン=ピュイ・デュカスの現在の価格がほかのほとんどのポイヤックを下回っているのは間違いないし、定期的に高品質なワインが造られるようになった今となっては目立ったお値打ち品となっている。このシャトーの現代的なセラーは、美しいブドウ畑の中ではなく、ポイヤックの中心部にある。
1971年に始まった大改修と植え替えの総仕上げとして1986年にはコンピュータ制御のステンレスタンクを備えた新しいキュヴェリー(ハイテク醸造所)が設置された。オークの新樽の使用率は50%にまで引き上げられた。その結果、グラン=ピュイ・デュカスの未来は明るいものとなったようである。畑は立地に恵まれており、1区画はムートン・ロートシルトとラフィット・ロートシルトに隣接し、1区画はバタイエにほど近い砂利質の丘にある。価値の分かる消費者にもっと注目されてよいシャトーである。
ここのワインのスタイルは、タニックで硬く内向的なのではなく、フルーティーでしなやかだ。グラン=ピュイ・デュカスの大部分のヴィンテージは、収穫後5年以内で飲めるようになるが、10年から15年は持ちこたえられるだけの潜在能力も持っている。
2003年の評価 88~90点
驚いた、驚いた!これはたぶん私がこれまで試飲した最上のグラン=ピュイ・デュカスである。縁いっぱいまでの濃いルビー/紫色に、スミレ、ブラックベリー、カシスのアロマが、酸の弱い、ふっくらとした、ミディアムボディからフルボディの、肉づきの良い体裁の中に感じられる。くらくらするようなアルコール分があり、phも高いが、良好な純粋さや活力がある。あと12~14年で飲むこと。印象的だし・・・・・・たぶん安いだろう。