ドメーヌ ユベール リニエ モレ サン ドニ トリロジィ 2019
1936年、1942年、1964年、1972年に植樹。「シュヌベリー60%」、「クロ ソロン15%」、「ポロー25%」という3 つのモレ サン ドニのリューディ。色調は濃く、味も濃縮みがあり、密度が高い。20年以上にわたって良く熟成する。
テイスティング コメント
紫がかったルビーレッド。香りはラズベリーやブルーベリー、スグリ、スミレのアロマにミント、シナモン、スモークのノート。そして甘草、わずかなコケ、鉄っぽいニュアンスを感じる。味わいは瑞々しくジューシー。キメ細かなタンニンと溶け込んだ酸味、しっかりとした構造の下、果実味がバランスをとっている。純粋さとしなやかさ、滋味のある味わいが印象的で、時間の経過と共に柔らかく、味わいの幅が広がっていく。後味は繊細でエレガント。
合う料理 牛フィレ肉のグリル、ローストビーフ、ジビエ、すき焼きなど。
2023年3月試飲
ドメーヌ ユベール リニエ
2014年に折半耕作解消、ドメーヌの新時代幕開け
1880年頃、ジャック リニエがモレ サン ドニのいくつかの畑を獲得しドメーヌはスタートしました。以降、息子のジュールが引き継ぎ、その後アンリとユベールと続き、60年代にはドメーヌは8ヘクタールに届くまで拡大。1992年には、ユベールの次男ロマン リニエがユベールと共に働くようになり順調な進化を続けてきましたが、ドメーヌの将来を託されたロマン リニエが2004年に他界。以降、老匠ユベール リニエが引退を撤回して奮起し、 ビショで働いていたもうひとりの息子ローランもドメーヌに戻り、ドメーヌ ユベール リニエの新時代が始まりました。
ロマン亡き後、ロマンの妻とドメーヌの畑を折半耕作し始めたためユベール リニエ本人は収穫の3分の1しか受け取れず、 買いブドウによるネゴシアン ビジネスも平行させることで需要に応えるしか手だてがない時代が続きました。
2014年、この折半耕作の契約が解消され、元々のドメーヌの畑が100%戻ってきました。畑の管理もドメーヌで行えるようになり、2014年からは満足のできる生産を再開しています。このお披露目に2016年秋にはローランが日本へ来日し、生産者セミナー、イベント等を実施。ドメーヌ ユベール リニエの完全復活となりました。
かつてはリッチで凝縮感が高く、新樽の香りも強かったユベール リニエのワインですが、故ロマンがスタイルを微調整し、バランスのよいものに仕上げてからというもの、昔のユベール リニエを支持していたアメリカ市場だけでなく、世界的に高い評価を受けるようになりました。
ロマンが他界し、ユベールが現場に返り咲いた時もスタイルを過去に戻すことはせず、バランス重視の姿勢を堅持しているのは、あまりに早くこの世を去った息子へのオマージュでしょう。
特級クロ ド ラ ロッシュとジュヴレ シャンベルタン1級のオー コンボットの一部はすでに返還され、栽培から本家の手によって造られるようになっています。また、ポマールやニュイ サン ジョルジュに新しい畑を手に入れ、ポートフォリオは充実中。悲劇を乗り越え復活したドメーヌの新時代に更なる期待が高まっています。