シャトー・ボー・シット 2003
テイスティング・コメント
エッジがオレンジがかった深いガーネット。粘性は中程度よりやや高め。香りにはブラックベリーや煮詰めたプラム、オリーブ、リコリス、ドライフラワー、ブラックペッパー、木樽由来のバニラやスモーク、トースト、モカなどの芳しさ。独特の土っぽさに加えて熟成による腐葉土や茸、なめし革の香り、そして杉やクローブ、シナモンなどのスパイシーな香りがあらわれる。アタックはソフトでなめらか。タンニンは豊富だがキメ細かく酸味が溶け込んでおりバランスがとれている。若いうちは堅牢であろう骨太なワインも熟成が進んだことで味わいはまろやかでスムーズな飲み心地で、飲むほどにその深みが増していく。立体的構造のフルボディ。厚みがありコクとじんわりと広がる旨みが堪能できる。合わせるお料理は、牛や仔羊のロースト、ビーフシチュー、豚の角煮、茸のソテー、オリーブオイル料理など。
2018年7月試飲
シャトー・ボー・シット
シャトー・ボー・シットは、ポイヤックのバタイエやサン・テミリオンのトロット・ヴィエイユ、ポムロールのドメーヌ・ド・レグリーズなど数々の銘醸シャトーを所有するカステジャ家がオーナーで、サン・テステフの北寄り、ジロンド河から2kmほど内陸に入った緩やかな傾斜にあります。シャトーからジロンド河を見下ろす素晴らしい眺望が望めるということで「美しい眺め=Beau Site」と名付けられました。
近隣にカロン・セギュールの畑が広がる恵まれた地で、樹齢約40年のカベルネ・ソーヴィニヨンにメルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドが植えられています。ワインはクラシカルなスタイルで、近年のヴィンテージでは70%程度の高比率でカベルネ・ソーヴィニヨンが占めています。若いうちはタニックで生硬な印象ですが熟成することで上質なしなやかさとコクのある味わいを楽しむことができます。
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
地の利に恵まれたシャトー・ボー=シットは、1955年にボルドーの名家であるエミール・カステジャ家の所有となった。畑の主要部分は、サン=コルビアン村に近い、ジロンド河を見下ろす高台に位置している。ボー=シットは秀逸なワインのはずだが、1960年代、1970年代のものは出来にムラがある。カベルネ・ソーヴイニヨンの比率が高すぎたせいなのか、結果としてタニックで頑強なワインになることが多かったのだ。理由は何であれ、収穫時期を遅らせ、40%はオークの新樽を使うように決定したことで(一部は樽内マロラクティック醗酵も行う)、1980年代、1990年代には徐々に、しなやかで親しみやすいワインが生産されるようになってきた。とは言え、依然として気まぐれなサン=テステフであることに変わりはない。タンニンも豊富だが、今ではより熟し、なめらかなものになっている。
ボー=シットのワインの流通は、ネゴシアンのボリー=マヌー社が独占的に行っている。
一般的な評価
このシャトーは、ブルジョワ級の地位を得るだけのことはあるし、近年ますます良くなって来たが、それでもワインはやや生硬だ。もっともコストパフォーマンスには興味深いものがある。