セラー・アルデボル アンジョリ プリオラート 2014
熟成:フランスのアリエ産バリック(1年樽と2年樽)で12~16ヶ月。
果実のボリュームが豊かです。カカオを思わせる風味となめらかなタンニンがあります。アルデボルのワインの中では、果実味を前面に出したタイプですが、フルボディで力強い味わいがあります。
【テイスティング・コメント】
エッジが紫がかった深いルビー、黒みが強い色調。粘性は高め。香りにはカシスやブラックベリー、ラズベリー、イチジク、オレガノ、ブラックペッパー、そして品の良い樽香、バニラやナツメグ、モカ、杉、タバコ、スモーキーなオークのノート。スパイシーかつ熟した力強い果実のアロマ、高いアルコール分を感じる。アタックはなめらかでボリューミーな果実味が広がり完熟感はもちろんのこと活気に満ち溢れる。舌触りはビロードのようで丸いタンニンと酸とのバランスがよく、熟した赤や黒のベリーフルーツにオークの要素であるカカオの風味がよく馴染む。果実味が残面に出た親しみやすい味わいにもオークから抽出されたタンニンが深みや層状の質感を与えており、アルコール感のある長めのアフター、果実とオークのフレーヴァーが持続する。飲み応えのあるフルボディで、ミネラルを含みメリハリが効いている。合わせるお料理は、赤身肉のロースト、豚肉のソテー、ハモン・セラーノ、焼き肉、すき焼き、スモークチーズなど。
※2017年7月試飲
■セラー・アルデボル
ワイナリーはバルセロナの東約140kmの人口僅か450人程の小さな村、ポレラにあります。アルデボル兄弟達が葡萄栽培を再開したのは、自分達の土地や故郷に対する思いを、この家族経営の小さなボデガで造るワインで具体化しようと決心したからです。プリオラートの土壌は、もともと岩から生じたもので、リコレリャと呼ばれる粘板岩が多く含まれ、黒っぽい灰色や茶色をしています。葡萄の根は、この粘板岩の間を縫うように深く伸びていき、ミネラル分が豊富に得られます。所有する畑には、1920年に植林し、その後も新しい樹を植えるのではなく、古樹に接木して葡萄を増やしています。
収穫時期は、分析値に頼るのではなく、自分で葡萄を食べて決めています。果肉ではなく、皮や種が熟すことが大事だと考えているからです。葡萄を運ぶ温度が大切で、20度を超えないようにしています。小さくいくつにも分かれた畑の個性を活かすため、品種毎、区画毎に小さなタンクで醸造します。発酵温度は、25~28度。マセラシオンは長く行い、葡萄が良い場合は1ヶ月になることもあります。フランス・アリエ産オークで品種別に熟成します。1年後状態を見てブレンドします。樽が強い傾向にある他のスペインワインとは違い、ワイン自体が個性を主張することが大切だと考えています。
他に7つのワイナリーを担当する女性ワインコンサルタント、ロジェ・アモロスがアドバイスしています。彼女はデリケートで繊細なスタイルを好み、ジョゼップはプリオラートの典型的な強いタイプのワインを求めるので、ふたりのコラボでちょうどバランスの良いワインが出来る結果となっています。