ロゴノーヴォ 2013
スクインツァーノのエリアは限られています。厳しい選別で造られます。畑は、白亜質の粘土土壌です。収穫は手摘みで行います。大きなオークの樽で発酵させ、醸しは45日行います。フレンチオークの樽で2年、瓶で1年熟成させています。すこし野生的でスパイシーな風味で、アマローネのような凝縮感があります。分かりやすいバニラ香が、かなり強く感じられます。強めのタンニン、口当たりは甘さがあります。
カステルジョコンド内にあり、北隣りはルーチェの畑という絶好のロケーションにあるパッリーナの畑のブドウを使用。
熟成:フレンチオークのバリック12ヶ月(新樽40%)
テイスティング・コメント
エッジが微かにオレンジがかったガーネット。香りはブラックチェリーや少し煮詰めたプラムのアロマに、バラのドライフラワー、メントール、八角、ローズヒップなどのスパイスのヒント。背景にスモーク、ローストしたオークの香りが広がり、さらに木炭やなめし革、タバコ葉など複雑なニュアンスを醸し出す。アタックはソフトでなめらか。やや肉厚なボディで、伸びやかに広がる豊かな酸味はいかにもサンジョヴェーゼらしい。温かみと柔らかさはメルロから、其々の要素が繊細に編み込まれしっかりとした骨格はシラーの個性と言える。熟成により穏やかな印象も、今も十分にフレッシュさを保ち味わいはバランスがとれ集約感がある。溶け込んだタンニン、舌触りはビロードの様で長く続くアフター。インポーターの紹介ではパワフルとあるが、現時点(2019年9月)で幾分ミディアムからフルボディ、クラシカルなスタイル。合わせるお料理は、仔羊や牛のロースト、豚・鶏肉のトマト煮、煮込みハンバーグ、ジビエ、焼き野菜、グラタンなど。
2019年9月試飲
ロゴノーヴォ
トスカーナを代表する赤ワインのひとつブルネッロ・ディ・モンタルチーノを育むモンタルチーノ地区は4つのエリアに分類されます。
- 畑の高低差が急で痩せた土壌と北向きの涼しい気候からミネラリーで繊細な味筋となるモンタルチーノの北側斜面。
- 比較的肥沃な土壌と日照の良さが大らかなキャラクターをもたらすモンタルチーノの南側の東向き斜面。
- 同じく日照豊富だが、海抜が高く約60km先にある海と畑との間に遮るものが何もないため風通しがよく、極度の乾燥と熱が和らぐ気候から力強さとエレガンスが備わるモンタルチーノの南側の西向き斜面。
- 砂質土壌と海抜が低く気温が高い環境が柔らくボリュームあるワインを生む最南端地区。
ゼロからの開拓
ロゴノーヴォは上記3.の南側の西向き斜面に位置しています。ブルネッロの銘醸カステルジョコンドの広大な敷地内にある農園の改修工事の際に発見された地所で、陽光が惜しみなく降り注ぎ、芳しい花の香をのせた心地よい風が吹く、誰もが夢見るトスカーナの風景がそのまま具現化された美しい土地です。この地のポテンシャルに一目で惚れこんだマルコとエルスベス・ケラー夫妻は2003年にこの地所を取得。イタリア最高のエノロゴの一人ロベルト・チプレッソを招き、醸造所を設立しました。
畑の開拓まで必要とされたゼロからの出発でしたが、詳細に地質調査を行ってブドウ栽培に最適な場所を割り出し、土着品種・外来品種を問わず畑の土壌に適合する高貴品種を選び、斜面を切り開いて最新設備を備えた機能的なセラーを新築しました。数年がかりの入念な準備の末、200haの敷地の中から選ばれたのはパッリーナというわずか10haあまりの畑です。(ルーチェのブドウが栽培される畑の南隣りに位置する。)海抜300-350mにあり、西側に開けた緩やかな斜面には爽やかな風がよく通ります。排水性に優れた風化したガレストロや保水性に富む粘土質など様々な土壌を持つ畑で、粘土が多い区画にまずメルロが、続いてサンジョヴェーゼ、プティ・ヴェルド、シラー、サグランティーノがそれぞれに合った土壌の区画に植えられました。D.O.C.G.ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの規定に縛られることなく、ケラー夫妻が恋したこの素晴らしい土地の個性を自由に表現するために、テロワールとクオリティ第一主義で選んだ結果です。
端正なワイン
自然環境に配慮したブドウ栽培では除草剤を使わず畑を耕すため土は非常に柔らかい。日照効率を最大限考えたコルドーネ・スペロナートの仕立て、ブドウの樹1本に付き1kgまでしか実をつけさせない収量制限、低圧力でのプレス、上質なバリック使いなど、栽培・醸造面での緻密な計算を経て生み出されるワインは、果実の凝縮感が印象的な非常に端正なスタイルです。まだ樹齢が若いながらも、ヴェロネッリが初ヴィンテージの2008年、そして続く2009年にスーパー・トレステッレという最高評価で称える驚くべき作品です。