シャトー・サン・ジョルジュ 2011
熟成はフレンチオークバレル(225リットル)で14か月(うち35%新樽)。軽い濾過を経てボトリング。
テイスティング・コメント
エッジがオレンジがかった深いガーネット。粘性は高め。香りには赤や黒のスグリ、ブラックベリーなどの果実香にペッパーやアニス、ミント、上品なオークのノートが混じり合う。バニラやキャラメル、ダークチョコなどの芳しさ、そして湿った土、炭、トリュフのヒント。森の下草のような香りも感じられ熟成による深みや複雑さがあらわれている。アタックはソフトでなめらか。果実味は円熟し厚みのあるボディに、よく溶け込んだタンニン、酸味が調和。しっかりとした骨格の中にも柔らかく広がりがあり、味わいは丸くジューシーで粘性が感じられる。滲み出るような旨みと、アフターへと続く熱いアルコール感が印象的。味わい深く優雅な余韻が楽しめる。合わせるお料理は、牛フィレ肉のロースト、ジビエ、茸料理、ミートソース料理、バーベキューなど。
2018年10月試飲
シシャトー・サン・ジョルジュ
シャトーの歴史
サン・ジョルジュの歴史はガロ・ローマ時代に遡ります。シャトー・サン・ジョルジュとその土地は1602年10月27日、ヘンリー4世よりジャン・バーボットに1500ポンドで譲り渡され、と同時に購入者は男爵の称号も得ました。「Sieur de Bouchereau」と呼ばれた最初で最後となるサン・ジョルジュ男爵は、1772年に封建時代のシャトーを再建するため、角の4つの塔を除いて、当時の新古典主義建築家で高名なビクター・ルイス氏(ボルドー大劇場、パリのパレ・ロワイヤル劇場)に委託しました。
しかし、この18世紀の宝石のような建築が革命を逃れたとしても、フィロキセラはブドウの木を破壊し、エステートは下り坂を歩むことになりました。その後1811年11月19日、ペトリュス・デュボアが購入に至るまで何人かの所有者の手を渡りました。彼はフランスのブドウの木にアメリカの台木を植え付けて、見事ブドウ畑を修復したのでした。
栽培・醸造・熟成
畑は石灰岩粘土質土壌で、軽い霜や強い日差しが特徴です。夏場の気温は夜間15℃から日中30℃ に上昇し顕著な差があらわれます。植樹されているブドウ樹の樹齢は10~50年。収量は47 hl/haです。サン・テミリオン、モンターニュ、ポムロールの間の三角の中心の丘の上に位置し、シャトーがブドウ畑を完全に囲んでいます。ブドウ本来の活力を調整すべく、冬の終わりに短い剪定を行います。さらに夏には、グリーン・ハーベストを行い、熟成と房の凝縮を促します。収穫は早朝に機械と手摘み。2回の選果により最高品質のブドウだけが発酵桶に残ります。タンニン、アロマ、アントシアニン色素の抽出のため10~12度で低温浸漬を4日間行います。アルコール発酵は、20~28℃に温度制御されたステンレス桶にて厳選酵母にて、プッシュ・ダウンとパンピング・オーバーを規則的に行います。醸しは5週間、MLFはステンレス・スチール桶にて。熟成はフレンチオークバレル(225リットル)で14か月(うち35%新樽)。軽い濾過を経てボトリング。
サン・ジョルジュ・サン・テミリオン(フランスAOCワイン事典(発行者 株式会社 三省堂)より抜粋)
リブルネ地区と呼ばれるドルドーニュ河右岸地区は、AOCボルドーを除く13のAOC赤ワインを産出している。最も栽培面積が広いのはAOCサン・テミリオンであるが、この産地の北側に、サン・テミリオン衛星地区と呼ばれる4つのAOC、すなわち、サン・ジョルジュ・サン・テミリオン、モンターニュ・サン・テミリオン、ピュイスガン・サン・テミリオン、リュサック・サン・テミリオンの生産地が連なっている。
サン・ジョルジュ・サン・テミリオンは、バルバンヌ川を挟んでサン・テミリオンの丘の対岸にあり、4つの衛星地区の中で、最もサン・テミリオンの畑に近い。また、サン・ジョルジュ村には、モンターニュ・サン・テミリオンの畑もあるため、この村からは2つのAOCワインが産出されている。
リブルネ地区のワイン生産の発展に大きな役割を果たしたドルドーニュ河は、フランスの中央山塊に源流を発し、ジロンド河と合流して大西洋へ流れ込む大河である。サン・テミリオン村から河の上流へ進むと、南西地方のワイン産地であるモンラヴェル地区やベルジュラック地区が広がっている。ドルドーニュ河は、19世紀末の鉄道開通まで、リブルネ地区や南西地方のワインをイギリスやオランダなどのヨーロッパの国々へ輸出するための重要な輸送路として活用された。