ドメーヌ・ジャン・グリヴォ ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ レ・ボー・モン 2015
レ・ボー・モンの畑は、南にリシュブール、北にエシェゾーという、偉大な特級畑に挟まれたとりわけ素晴らしい丘陵地帯にあり、なめらかでフィネス溢れるワインを生みます。
さほど熟成させずとも若いうちから充実感のある果実味を堪能でき、その一方でもちろん長期熟成にも十分耐えるストラクチャーをもっています。
評価
2015VT ワイン・アドヴォケイト:95‐97点獲得
2015VT ワイン・スペクテーター:96点獲得
テイスティング・コメント
深みのある紫紅色、やや濃い色調。粘性は中程度より高め。香りは濃縮感があり、熟したラズベリーやチェリー、スグリのアロマが豊かで、直ぐ後にスミレや赤い花々の香りがあらわれる。そしてブラッドオレンジにドライハーブ、クローブの香り、コーヒーやローストしたオークのノートが混じり合う。リキュール類やアジアンティーのニュアンスを醸し出し、薫り高く崇高な印象の中にも親しみやすさが感じられる。口に含むとスムーズでしなやか。香気・香味が溢れんばかりに広がる豊満なボディ感・包容力があり、舌触りはシルキーなテクスチャー。舌を包み込むように広がるそれは、「とろみ」さえ覚え、まさに官能的である。気品があり、酸味は穏やかでバランスが良く素晴らしい構造。今飲んで純粋にその美味しさが堪能できる。エネルギッシュで、果実のフレーヴァーが広がり、後に洗練されたミネラルのヒント。集中力があり若いうちから存分に楽しめる上、熟成能力の高さも秘めている。合わせるお料理は、牛のタタキ、仔羊や鴨肉のロースト、北京ダック、赤身マグロの醤油漬け、ベーコン、茸のリゾットなど。
2019年2月試飲
ドメーヌ・ジャン・グリヴォ
18世紀の末にまで遡る、ヴォーヌ・ロマネの由緒正しき造り手「ジャン・グリヴォ」。現当主、エティエンヌ・グリヴォの父が現在のドメーヌ名となっており、祖父のガストンは初めてディジョン大学で醸造学の学士を修めた人物です。今日、ドメーヌ・ジャン・グリヴォは全体で14haほどの畑を所有。本拠地のヴォーヌ・ロマネのほか、ニュイ・サン・ジョルジュにも数々のクリマがあります。これはエティエンヌの祖母、マドレーヌが婚資としてもたらしたもの。余談ですが、マドレーヌの旧姓もグリヴォだそうです(両グリヴォ家の間に血縁関係はないらしい)。ガストンの死去にともない、55年にジャンがドメーヌを継承。59年からワインの元詰めを始め、ドメーヌの名声を築きました。
エティエンヌがボーヌの醸造学校を卒業し、ドメーヌ入りしたのは82年。夫人はサヴィニー・レ・ボーヌの名門、ドメーヌ・シモン・ビーズのパトリックの妹マリエル氏です。若かりし頃、シャンボール・ミュジニーのクリストフ・ルーミエとビーズ家に試飲に出かけ、そこで出会ったマリエルに一目ぼれ。ワイン造りの家系の男とは結婚しないと決めていたマリエルを、何年もかけて口説き落としたといいます。
エティエンヌ・グリヴォの造るワインはじつにヴォーヌ・ロマネらしい。たおやかで、包容力があり、誠実な印象を受けます。まさにエティエンヌそのものの人物像を写し取ったかのよう。ヴォーヌ・ロマネのクリマはそもそもそのような性格だから当然としても、ニュイ・サン・ジョルジュのレ・プリュリエ、ロンシエール、オー・ブードまでヴォーヌ・ロマネ的なのは驚くかもしれません。ヴォーヌ・ロマネに近いオー・ブードはとくにその印象が強く、ニュイ・サン・ジョルジュにありがちな骨太で角張った様子がほとんど感じられません。ベルベットのような喉越しは、このドメーヌのワイン共通の特徴といえるでしょう。