シャトー・トゥール・デュ・オー・ムーラン 2015
樽熟成は約15ヶ月間で新樽比率は30%。無清澄、無濾過で瓶詰めされます。バランスがよく、しっかりとしたメドックらしい赤ワインです。
テイスティング・コメント
エッジが赤紫がかった濃いガーネット。香りはブルーベリーやブラックベリー、カシスなどの果実香に、木樽由来の香木やダークチョコ、エスプレッソ、炒ったコーヒー豆、トーストなどと芳しい。そして僅かにミントの香りやブラックペッパー、クローブなどのスパイスの香り、タール、黒トリュフ、土っぽさ。アタックはしなやかで、緻密なタンニンによる構造があり凝縮感に富む。現時点で少し若さがあるが、輪郭は丸くスムーズで、次第にふくよかさが増していく。調和のとれた穏やかな酸味。上品で、コクがあり古き良きボルドーの伝統を感じさせる。初日よりは二日目と、ゆっくり時間をかけて楽しみを。より柔らかくフレーヴァーの広がりを感じる。(すぐ飲むのであればデカンタージュがおすすめ)合わせるお料理は、赤身肉料理、牛肉や仔羊のグリル、煮込みハンバーグ、ビーフシチュー、茸料理など。
2020年4月試飲
シャトー・トゥール・デュ・オー・ムーラン
シャトー・トゥール・デュ・オー・ムーランはクリュ・ブルジョワの中でも上級に評価されておりヴィンテージによってはメドック格付け第5級に匹敵すると言われています。サン・ジュリアンとマルゴーの間、キュサック村にあり、オーナーで醸造家を務めるのはリオネル・ポワトゥー氏です。ブドウ畑は28ha所有していましたが、シャトー・ラ・ラギューンに19haを売却したため、2009年より9haのみでワイン造りを行っています。植樹はヘクタールあたり10,000株。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロがほぼ半々で栽培されています。
収穫は手摘みで、畑の段階で2度の選果を行い、収穫後にも更に選果台で厳選。除梗した後に低温浸漬を行い、125ヘクトリットルほどの小さい容量の温度コントロールされたセメントタンクで発酵。発酵温度は高めの34〜35度で、発酵中にはポンピングオーバーを施し、マロラクティックも同様にセメントタンクで行います。圧搾は昔ながらの小型の木製のものを使用。これを使うことによって、圧力調整を含めて細やかな管理ができるのが利点です。樽熟成は約15ヶ月間で新樽比率は30%。無清澄、無濾過で瓶詰めされます。
畑での丁寧な仕事とブドウの選果の厳しさが、このシャトーのひとつの特徴といえます。雨が多かった2002年、夏が涼しく雨も多かった2004年。このような悪条件の揃った年でも、前者はストラクチャーとボディのしっかりとした仕上がりとなり、後者はエレガントな凝縮感を備えています。畑の手入れ、そして粒選りまでして良質のブドウしか使用しないというこだわりが、ワインの品質に表れています。