シャトー ピュイグロー 2012
シャトー ピュイグローは、他のトップシャトーと同じ細心の手入れと高い醸造により、ファースト ヴィンテージから高い評価が与えられています。
ティエンポン一家がシャトーを購入したのは1946年でしたが、土壌の手入れだけで何と30年の歳月を要することになります。そこからブドウを植え直し、1983年にようやくファースト ヴィンテージがリリースされました。そのファースト ヴィンテージがいきなり評論家に絶賛され、瞬く間に市場の人気シャトーとなります。この堂々たる品質は一家が所有する他のトップシャトーと全く同じ細心の手入れとレベルの高い醸造によるものです。
熟成: 18カ月(新樽33%残り1年使用樽)
テイスティング コメント
艶のあるガーネットの色調。香りは赤や黒のスグリ、チェリー、野生のハーブ、スパイスのヒント。そして上品なオークの香りが広がりスモーキーで、炭やコーヒー、ココアパウダーを思わせる。口当たりは丸く、しなやか。調和のとれた美しい酸が果実味を引き立てる。しっとりなめらかな質感に、純粋で際立った輪郭をもつ。ボディは中庸、重すぎずエレガントな余韻が魅力。
合う料理 赤身肉のグリル、仔羊や鶏肉のロースト、ビーフシチュー、ボロネーズ、茸料理など。
2024年2月試飲
ティエンポン家
「ル パン」を手掛ける「ティエンポン」家
ポムロールの銘醸「ル パン」やサン テミリオンの銘醸「パヴィ マカン」など、右岸のトップ シャトーを手掛けるティエンポン家。ポムロールやサン テミリオンに限らず、リーズナブルなワインも手掛けており、コート ド フランの地で生み出した「ピュイグロー」はあまりにも有名な代表作です。一族の中でも、「ヴュー シャトー セルタン」のオーナーでもあるフランソワ氏は、醸造学校を卒業後、海外を渡り歩き学んだワイン造りの経験を活かし、高級ワインのノウハウをお手頃な価格のワインに活かしています。
ティエンポン家の歴史
ティエンポン家はベルギー出身の家系で、1847年からワイン商としてワインの販売に携わっていました。1924年、ジョルジュ ティエンポン氏(初代。Georges Thienpont 氏(1881-1960))がヴュー シャトー セルタンを購入し、ボルドーでワイン造りを始めました。その後、同じく所有していたシャトー トロロン モンドを1930年に売却。これは、世界恐慌の煽りで経済的に苦しく、当時はヴュー シャトー セルタンより名前が知られており価格の高かったことからトロロン モンドの方を売却するにいたったということのようです。
現在では右岸を中心に(コート ド フラン、カスティヨン、サン テミリオン、ポムロール、アントル ドゥ メール)多くのワインを手掛けるようになっています。ジョルジュ ティエンポン氏には13人もの子供がいらっしゃり、そのうちの何人かがワイン造りに関わっています。更にその次の世代がジャック ティエンポン氏やフランソワ ティエンポン氏などの“現役世代”となります。
ティエンポン家が所有(または経営)する主なシャトーの分布
ティエンポン家のワインの特徴
端的に言うと「右岸で」「家族経営品質で」「小規模生産」というのが特徴のティエンポン家。彼らが造るワインには、以下のような特徴が共通して感じられます。
・完熟した果実味(青みを全く感じないが、決して過熟ではない)
・メルロの肉厚で柔らかい果実味+カベルネ フランの華やかさと骨格
(ティエンポン家はカベルネ・フランを大切にしています)
・しっかり感じる美しい酸味
・熟れて質の高いタンニンが緻密に詰まっている
・良い樽感があるものの強すぎず、果実味を大事にしている
・アフターに口がスーッとするフレッシュ感とミネラル感
こういった特徴が相まって、綺麗にバランスが取れ、まとまりがある味わいのティエンポン家のワインは、単体で飲んでももちろん美味しいですが、お料理ともよく合います。