ルナ・ヴィンヤーズ エィ・クリスプ・シャルドネ カリフォルニア 2014
a Crispのシャルドネはシャープな酸とまろやかな果皮の果実味が自然に凝縮されていく特性をもつ北カリフォルニア産のものが採用されています。全房プレス搾汁の後、オーク樽内にて発酵を行い乳酸発酵という、厚めのボディに樽香をのせていく90年代~2000年代前半のスタイルで、現在における日本でも相当数のファンを既に獲得している懐かしのスタイルです。
【テイスティング・コメント】
黄金がかったレモンイエロー。粘性は高め。アロマは力強く完熟した果実香が広がり、アプリコットやピーチ、リンゴ、砂糖漬けのレモン、蜂蜜を思わせる。甘さのある芳醇な香りで柑橘類の皮やジンジャーの香りがヒントにあり、バニラやコーヒーなどのオーク、塩気、ほろ苦いミネラル香が混じり合う。アタックはソフトでなめらか。果実味は豊かなボリュームとたっぷりとした旨みに満ち溢れる。ジューシーなパインやレモン、ナッツの風味があり、活気のある酸が味わいを支えている。粘性を感じるどっしりとしたボディながらもクリーンでドライなフィニッシュは見事の一語に尽きる。アルコール感のある充実した飲み応え、アフターにはパインのフレーヴァーが持続する。合わせるお料理は、豚や鶏むね肉のソテー、クリームコロッケ、シーフードのシチューやグラタン、クラムチャウダー、ゴルゴンゾーラのリゾットなどがおすすめ。
※2017年2月試飲
■ルナ・ヴィンヤーズ
1995年にルナの創業者(イタリア系)がこの地を訪れ、一目見た瞬間にそのポテンシャルを見出しワイナリーの歴史が始まりました。ナパで初めてイタリア品種であるピノ・グリージョをシルヴァラード・トレイル東側に植樹したファウンダーとしても知られ、以来ピノ・グリージョにおけるカリフォルニアでの知名度向上にも積極的に努めてきました。1996年にはあのシャルドネキング、ジョン・コングスガード氏をワインメーカーに迎え、一躍ナパを担うワイナリーへと成長していきました。
畑
ルナ・ヴィンヤードの畑は生物の営み、エコシステムを最大限に尊重し、その営みが健やかに存続していくための障壁となるものは最小限に抑えられています。
ワイン造り
植物から動物、小さな生物までに至る地域の多様性と石・岩などが混在するロッキーな地勢にも恵まれ、産出されるワインには常に素直な土地柄が表現されてくるワイナリーです。ルナ・ヴィンヤードではその恵みを何よりも大切にし、それぞれのワインに訪れた人たちが情景を思い浮かべることができるようなワインを理想としています。故にワイン造りに関してもとにかく自然、土地、気候に感謝とリスペクトを示し、その地勢を失わないように人工的な化学物質や肥料を極力使わない方法に拘っています。
昨今、ナパでも人間の営みを優先させるため一部機械ハーヴェストや人工的な肥料や添加物が当然のように使われてきている中、ルナでは常に葡萄は丁寧にハンドピッキングされ、数回にわたる選果(ソーティング)、その後にコントロールが簡単な人工培養酵母ではなくコントロールが難しい自然界の付着酵母によって第一次発酵を行い、そしてマセレーション(漬け置き)へと移行させることで人間が人工的な手を加えるところはとても少なく、自然が最大限にワインの中に生きてくるような製造法でワイン造りが行われています。
ワインメーカー:シャゥナ・ミラー(Shawna Miller)
ナパ、シルヴァラード・トレイルの自然ワイナリー、ルナを統率するのはシャウナ・ミラー氏。彼女は自らの20代を生粋の“ハーヴェスト・ジプシー”と称し、ナパではボリュー・ヴィンヤード、ロンバウアーをはじめNZ、オーストラリアなど南半球へも赴く、まさに醸造ジプシ―でした。現在は30代を迎え、エネルギッシュな行動力はルナ・ヴィンヤードに注ぎ込まれ、学んできた様々なワイン造りのスタイルを独自に表現するアーティストに変身していきました。ミラー氏のその長い経験はルナのワイン造りに自然に投影していくこととなり、2012年ヴィンテージのカベルネ・ソーヴィニヨンでは98ポイントをマーク、またゴールドメダルやベスト・オブ・クラスなど3,000のワイナリーを越える世界のワインコンペティションにも選出され、ロサンゼルス・インターナショナル・ワイン・コンペティションなどでも数々の賞を獲得してきた実績をもちます。
ワインメーカーとはアーティスティックな右脳と計画力の左脳を使い分けることを要求されるアーティスト。ミラー氏はワインメーカーとしてそれにプラスして味覚や臭覚の非凡さをもち合わせる正真正銘の匠といえる醸造士です。