シャトー・ラ・トゥール・デュ・パン 2009
★評価
2009VT ワイン・エンスージアスト:93点獲得!
【テイスティング・コメント】
エッジがほんのりとオレンジがかった濃いガーネット。深みがあり、粘性は高め。香りにはラズベリーやプラム、ブラックチェリーなどの果実香にバラ、牡丹、ハーブ、リコリス、樽由来のバニラやお香、杉、ココア、アーモンドなどの芳しさ。そしてレザーや腐葉土、タール、大地のニュアンスが続き、複雑性に富んだ温かみが感じられる。アタックはソフトでしなやか。ビロードのようななめらかな舌触りでキメ細かなタンニンと穏やかな酸味が調和。豊かな果実味を感じる甘さ、濃縮感があり程よく肉付いたボリューム感で満たされる。旨みがたっぷりとしながらも凛とした品格が印象的でフィネスを纏い、粘性のある質感と長く続く余韻をもつ。コクを備えたフルボディ。果実とオークのフレーヴァーが持続し甘辛のバランスが秀でている。合わせるお料理は、牛フィレや鴨肉のロースト、ビーフシチュー、ジビエ、茸料理、スモークサーモンなど。
※2018年1月試飲
■シャトー・ラ・トゥール・デュ・パン
サン・テミリオンのトップ銘柄のひとつ“シャトー・シュヴァル・ブラン”に隣接する区画で造られる、グラン・クリュのお値打ちワイン「シャトー・ラ・トゥール・デュ・パン」。サン・テミリオンというテロワールの偉大な可能性を引き出すべく、ピエール・リュルトン氏が指揮を執るシュヴァル・ブランと同じチームによってリリースされているワインがこの「シャトー・ラ・トゥール・デュ・パン」です。ブドウの栽培、醸造、熟成等、ワイン造りの全ての過程において、シュヴァル・ブランと同じ哲学が適用されているといいます。
ファースト・ヴィンテージは2006年でした。購入したての畑を前に、如何にして自分たちの望む基準に達するワインを造るか熟考を重ねたチームは、綿密な土壌の分析を行い、「それぞれの区画の潜在性を理解するため、より細かい区画管理が必要である」という結論に達したそうです。収穫はすべて手摘みで行われ、畑の多様性を尊重する区画管理の努力を無駄にせぬよう、あえて小さなタンクにて醸造されています。
元はシャトー・フィジャックの区画
1879年に、シャトー・フィジャックは「シャトー・フィジャック」と「シャトー・ラ・トゥール・フィジャック」に分割されます。それから2年後、「シャトー・ラ・トゥール・フィジャック」はさらに分割が行われ、ここに「シャトー・ラ・トゥール・デュ・パン・フィジャック」が誕生しました。後に、「シャトー・ラ・トゥール・デュ・パン・フィジャックは、ベリヴィエ家が取得することになります。
それから1947年、シャトー・ラ・トゥール・デュ・パン・フィジャックの一部をアントワン・ムエックス社が取得。ワイン名はシャトー・ラ・トゥール・デュ・パン・フィジャックのままでしたが所有者が二人いることで二つのラベルが存在しました。
そして2006年、アントワン・ムエックス社がシュヴァル・ブランのオーナーに買収されたことによりシャトー名から“フィジャック”の文字を取り除き、ここに新たなシャトー、『ラ・トゥール・デュ・パン』が誕生したのです。