ベルトラン・アンブロワーズ クレマン・ド・ブルゴーニュ NV
プレモー村を本拠地として数多くのアペラシオンを手がけるベルトラン・アンブロワーズ。このクレマンもなかなかのものです。シャルドネとピノ・ノワールが半々とバランス抜群。
テイスティング・コメント
ゴールド/ストローイエロー。白桃や洋梨、リンゴのコンフィなどフルーティーかつ上品な香り。そしてグレープフルーツやオレンジピール、レモンティーのニュアンスに、ブリオッシュやアーモンドなどの香ばしさを感じる。成熟感があり次第に蜂蜜の香りも。口に含むとやわらかでジューシー。軽やかな甘みがほんのり感じられ中盤にかけてふくよかさが増していく。優しく、旨みがあって浮かび上がるような広がり。程よい苦みが全体を引き締め味わうほどにしみじみと旨みが感じられる。合わせるお料理は、前菜から軽いオードブル、野菜と魚介料理、寿司、天ぷら、フィンガーフードなど。
2020年3月試飲
ベルトラン・アンブロワーズ
メゾン・アンブロワーズは1987年にプレモー・プリセに設立されました。当主のベルトラン・アンブロワーズはリヨンの出身で、ブドウ栽培やワイン醸造とは無縁の家柄でした。教師の勧めでボーヌの醸造学校に入学。ワイン造りを学んだ後、外国で暮らそうと考えていましたが、そこで知りあった女性が妻のマルティーヌさんです。義父の跡を継ぐ形で、このメゾン・アンブロワーズを興したそうです。
新参者ながら、プレモーの村議を20年、村長を7年務めた人格者です。今日、17haの畑をビオロジックで栽培しエコセールの認証を取得。ドメーヌではなくメゾンなのはネゴシアンだからですが、実際のところ買いブドウによって造られているのはラドワ1級のグレションとムルソー1級のポリュゾのふたつのみだそうです。10年前までは全体の3分の1がネゴスでしたが、徐々に自社畑産に絞り込み、今日のラインナップに落ち着いています。
かつてアンブロワーズのワインは樽香の強さで賛否を分けたことがありますが、現在は樽の大きさを400リットルの特注サイズにし樽の影響を抑える傾向にあります。例えば白の場合、ラドワ1級グレションで70%、ムルソー1級ポリュゾ、ニュイ・サン・ジョルジュ1級テール・ブランシュで100%という高い新樽率にもかかわらず、スモーキーさは上品で、かつてのカリフォルニア産シャルドネのようなオーバーオーキーな印象がなくなったのは大きな進歩といえるでしょう。
一方、果実味の凝縮感に溢れるスタイルは従来どおり。樽香が抑えられたことによって、よりピュアなフルーツを堪能できます。長女のリュディヴィーヌ、長男のフランソワがベルトランを支えるようになり、次世代へのバトンの受け渡しも進んでいます。一部の親しみやすいワインに、開けやすく飲み残しの保存もしやすいスクリューキャップを導入。新しい試みにも果敢に挑戦しています。