クロード ゲラエール クレマン ド ブルゴーニュ ブリュット シャルドネ NV(2018)
NVですが、すべて単一年の葡萄を使用しています。
ファイバー製のタンクで1次醗酵。瓶内2次醗酵を行い、12ヶ月以上瓶内熟成を行いデゴルジュマン。土壌だけでなく葡萄のクローンもシャンパーニュと同じだと言うだけあり、限りなくシャンパーニュに近いクレマン ド ブルゴーニュです。瓶内2次醗酵ならではの細かい泡。マンゴーやライチ、パイナップル等のフルーティーでありながら重たすぎないクリーンなフルーツのアロマ。アタックでも柔らかい泡につつまれ、香りで感じた風味が繰り返し、微かにバニラのニュアンスも感じられます。ボディもありミネラルの満足感が余韻にまで続きます。
評価
リヨン国際コンペティション2022: 金賞受賞
テイスティング コメント
輝きのあるレモンイエロー、微かにグリーンのトーン。アプリコット、マンゴーなどのトロピカルフルーツと金木犀を思わせる華やかなアロマがふわりと香る。その中でリンゴ、白桃、ライムなどの果実香。さらにイーストやナッツ、ビスケット、ほのかに甘い蜂蜜の香り。口に含むとスムーズでクリーミーなアタック。純度が高く透明感のあるピュアな味わいを体現し、キメ細かな泡が口内を満たしていく。エキス分が充実し余韻は長くエレガント。グレープフルーツの皮のようなほろ苦さが後味を引き締める。
合う料理 食前酒、タペナード(オリーブとオリーブオイルをペースト状にしたもの)、サラダ類、シーフード、天ぷら、フライなど。
2022年12月試飲
クロード ゲラエール
クロード ゲラエールはシャンパーニュの生産されるオーブ県とブルゴーニュ北部境界のエリア、シャティヨネで高品質なクレマン ド ブルゴーニュを造る生産者です。シャティヨネはアペラシオン制定が行われるまでは、シャンパーニュとして葡萄の栽培が行われていたエリアで、葡萄もシャンパーニュと同じクローンが栽培されています。ちなみにシャブリやコート ドールのクレマンに使われるクローンはシャンパーニュと同じものではありません。現在、シャティヨネの生産者達はその差別化をはっきりとさせる為にも「クレマン ド シャティヨネ」という単独のアペラシオン制定に向けINAOと協議を行っています。
またクロード ゲラエールは、葡萄の他にもハイネケンビールの原料となる小麦を栽培する秀逸な農家でもあります。かつてクロード ゲラエールは収穫された葡萄を共同生産組合レ ヴィニュロン ド オート ブルゴーニュに納めていましたが、その共同生産組合が倒産し、シャブリにある巨大な共同生産組合カーヴ ド バイィ社に買収されたのをきっかけに2001年より醸造設備を導入し自らのブランドでクレマン・ド・ブルゴーニュの販売をスタートします。シャティヨネは行政上の区画ではブルゴーニュに属するコート=ドール県ですが、コトー・デ・バールに連なるキンメリッジ階の土壌に粘土質石灰岩の土壌が混じるコトー デ バールと同じ素晴らしいテロワール。そして葡萄はシャンパーニュで栽培されるクローンと同じピノ ノワールとシャルドネです。
ゲラエール氏の思いは『シャンパーニュと思おうがクレマンと思おうが構わない。一番大事な事は品質を認めて貰い、それを美味しいと言ってくれる事』。
多くの栽培家は行政が引いたシャンパーニュを隔てる線に恨みごとの一つも言います。目と鼻の先にある線を越えた向こうの栽培家達の葡萄はシャンパーニュの葡萄として高く買い取ってもらえるからです。ゲラエール氏の心の奥のどこかにも『自分もあの線の内側にいれば・・・』と思う気持ちがあるかも知れません。しかしどうにもならない事に不満を漏らす事なく自分のいる位置を受け止めただ単純に品質を追求する姿勢に大変好感が持てます。中には品質にこだわりもなく、ほんの少し収量が減った事により葡萄の取引額を上げるシャンパーニュもあるのですから、それならば私たちは真面目一徹を貫くゲラエール氏を応援していきたいと思います。
シャティヨネの生産者達はINAO(フランス国立原産地名称研究所)にシャティヨネのクレマン ド ブルゴーニュを「シャンパーニュとして認めてもらう」という働き掛けを行った事もあります。その当時の記事がフランスの「クレマン デュ シャティヨネ」という刊行物にも掲載されています。
クレマン デュ シャティヨネ掲載文抜粋
[クレマンとシャンパーニュの間]
ブルゴーニュでシャンパーニュを造ってしまおうという不思議なアイディア!実はクレマン デュ シャティヨネの生産者のアイディアです。シャティヨネのクレマンが3月からAOCシャンパーニュになる様なリクエストをINAOに送りました。シャンパーニュと同じ「栽培方法」、「品種の栽培」、「醸造方法」が行われ、そしてなによりシャンパーニュと同じ「土壌」があります。昔、ボージョレでも似たような訴えがあり、現在ボージョレのクリュはAOCブルゴーニュの中に入っています。しかしINAOの副会長ピエール=アンリ ガレはシャティヨネの生産地がAOCシャンパーニュに入るのは不可能だと言いました・・・
ですが、実際にシャンパーニュになってしまうと価格が大きく上がる可能性もある訳なので我々としましては、このままの方が良いのかもしれません。
シャティヨネはこれからも、最高品質のクレマンとしてシャンパーニュと同じ「栽培方法」「品種の栽培」「醸造方法」そしてシャンパーニュと同じ「土壌」からコストパフォーマンスの高いスパークリングワインを造っていく事になるでしょう。