ドメーヌ サント バルブ ヴィレ クレッセ レピネ 2020
ヴィレに位置する畑「レピネ」から収穫される樹齢50年ほどのシャルドネで造られます。僅か0.6haほどしかない畑から造られるワインはわずか3000~4000本程度という限定生産のワインで、醗酵・熟成にオーク樽を用います。丘の中腹に位置し、30cmほどの厚さがある茶色や赤みがかった粘土質土壌に表面が覆われた石灰質土壌を形成しています。果実の力強さに深みがあり、余韻に心地よい酸とミネラルの完璧なバランスが表現されています。
醗酵: 67%ステンレスタンク、33%オーク樽
熟成: 67%ステンレスタンク、33%オーク樽熟成10カ月(600L、228L、新樽比率5%)、その後ステンレスタンクにて4か月
テイスティング コメント
輝きのあるレモンイエロー。香りは白桃、アプリコット、蜜柑、フローラル ノート。そしてほんのり花の蜜、レモングラス、カルダモン、スパイシーな樽のニュアンス。口に含むとフレッシュでジューシー。キビキビとしているがまとまりがよく根幹にミネラル、しっかりとした軸をもち、味わいは非常に豊か。程よい緊張感を保ちながらドライ感があり、バランスよく仕上がっている。端正な美しさ、フィネスを纏った広がりのある味わい。
合う料理 シーフード、鶏肉料理、野菜のソテー、テリーヌ、スパイシーなアジアン料理など。
2023年1月試飲
ドメーヌ サント バルブ
ドメーヌ サント バルブは、現当主のジャン マリー シャラン氏が2001年に父のドメーヌであるドメーヌ デ シャゼルから独立する形で設立されました。古くは8世紀からブドウ栽培の歴史があるというヴィレに位置しています。元々はジャン マリー シャラン氏の祖父がブドウ畑を所有しており、その後1960年代に自社詰めを開始、現在に至ります。祖父はヴィレの協同組合長を務めていた人物。現在ドメーヌが所有している畑の面積は8.2ha、ヴィレ クレッセを5.7ha、マコン ヴィラージュを2.5haとなっています。
ジャン マリー シャラン氏が独立した2001年から急激に品質が向上し高い注目を集めるようになりました。本来であれば父親のドメーヌ デ シャゼルを引き継ぐはずでしたが、有機栽培に興味があった彼は独自の考えでワイン造りをしたいと自身のドメーヌを創設。当初からビオディナミやビオロジックといった有機栽培を実践、2003年にはエコセール認証を取得するなど、マコネ地区の若手生産者におけるリーダー的存在になります。
彼の造りだす白ワインは果実の力強さに溢れ、かつエレガント。日本においてもワイン評価誌の表紙を飾り絶賛されるなど、非常に高い人気を獲得しています。
ビオディナミを実践し、自然のサイクルを尊重する
自然に敬意を示し、テロワールが表現されたワインを造りたいという強い思いがあったジャン マリー シャラン氏は、2001年のドメーヌ設立後すぐの2002年からビオロジックでのブドウ栽培を開始、2003年からはビオディナミ農法を実践しています。
2006年にはヴィレ クレッセの地で最初となるビオロジックの認証を取得(Certifie Agriculture Biologique 通称ABマーク)しています。また、「GEST」というブルゴーニュの土壌を研究する組織にも加入しています。
ドメーヌが所有する畑の実に75%を古木が占めており、彼のワインに複雑性をもたらしています。ヴィレ クレッセに関しては1haあたり6500~8000本の株密度で植樹。冬の間の畑は停止状態とし、春頃から剪定作業に入ります。ブドウが均等に熟すように、葉っぱが一部に密集しないように丁寧に手入れされます。7月末までの雑草の状況を見ながら、開墾作業を地中深くから行います。この雑草は、8月、9月の時期のブドウの完熟度や、病気等に関係してくる為、畑の状態を見ながらの作業。雨が多いとブドウはカビにやられてしまう為、雨を吸い上げる雑草が必要となります。そうして出来上がったブドウは全て手摘みされ、ワイナリーへと運ばれるのです。
「僕がワインを造るのではない、自分はテロワールの表現者なんだ」
ジャン マリー シャラン氏は、「僕がワインを造るのではない、自分はテロワールの表現者なんだ」と語ります。「戦後、僕が生まれた地は経済的に弱く、テロワールの概念はあっても協同組合が力を持っていて、テロワールごとにワインを醸造することはできなかった。でも僕はこの地のテロワールを表現したいんだ」とも。彼の造る力強くも透明感があり、上品な酸とミネラル感のバランスが絶妙な白ワインは、彼の哲学によって土地のテロワールが表現された結果なのです。
太古の昔「海」だった土地
マコネからヴィレ クレッセは、昔は海の底だったといわれています。海の底といえば、シャブリのキンメリジャン土壌が有名です。サント バルブが所有している畑の土壌も同様の特徴をもっており、牡蠣の化石やムール貝の化石、さらにはアンモナイトの化石も出てくる非常に石灰質に富んだ土壌です。テロワールの表現者であるサント・バルブの上品なミネラル感は、この土壌に由来しています。
海洋性・大陸性双方の特徴をもつ特殊な気候条件
ブルゴーニュのマコネ地区においての気候は、海洋性気候と大陸性気候の合わさったものといわれています。特に海洋性気候では、海陸風や季節風などの海洋と陸の間で起こる風の影響を受けるため、一般的に降水量が多くなります。さらに大陸性気候の影響も受けるこの地区は、平均的には気温が他の地域のフランスと比べて高いですが、(例えば、パリが15度に対し、ヴィレでは18度以上など)夏と冬の気温差が激しく、気温が下がると一気に雪が降ったり、雷が落ちたりする日もあります。マコネの平均日照時間は1828時間、平均降水量は841ミリ程度。
半大陸性気候といわれるこの地区は、ソーヌ渓谷によって気候が和らげられ、夏はあまり涼しくなく、冬は湿気が多いため霧も発生。またローヌ渓谷からの地中海性気候の南風の影響や大陸性気候による北風の影響も受けやすいといえます。
ミネラル感とフィネスを追い求めるワイン造り
ジャン マリー シャラン氏のワイン造りは、全て「テロワールの特徴=ミネラル感とフィネス」をいかに表現するか、が根底にあります。ワインに関しては完璧主義者である彼の醸造施設は、彼の造りだすワインのようにクリーンそのもの。醗酵の温度はおよそ16~18度の間で行い、自生の天然酵母を用います。丁寧にプレスを行った後、一晩寝かせてからデブルバージュを行います。それにより、細かい澱をこの時点で取ることが可能になるため、ミネラルを綺麗に表現できるといいます。亜硫酸をほとんど使用しないため、バトナージュはほとんど行わず、補酸・補酸も一切行いません。