マイアーラー ケステナー パウリンスベルク リースリング トロッケン 2018
パウリンスベルクの中でもポテンシャルの高い区画の葡萄を使っています。標高150m、南東向きの畑です。土壌は灰色粘板岩と青色粘板岩です。触るとすぐに崩れる細かく砕かれた粘板岩土壌です。収穫前の9~10月中旬にかけて葡萄を分析し、味、香り、品質をチェックします。10月中旬に収穫します。畑にバケツを二つ持っていき収穫し、貴腐菌が付いていない葡萄は辛口用、貴腐菌のついた葡萄は甘口用と、別のバケツに分けていきます。ステンレスタンクとモーゼルの伝統的な1,000Lのフーダー(大樽)を各50%使って発酵させます。マロラクティック発酵はさせません。洋梨やアプリコットの香り、非常にきめ細かく繊細かつエレガントな透明感のある味わいが魅力です。
テイスティング コメント
明るいレモンイエローの色調。香りは洋梨、リンゴ、白い花のアロマにカルダモン、ペッパーなどのスパイスのノート。そして僅かにフリント、濡れた岩石の香り。粘板岩土壌由来のミネラルのヒント。口に含むと爽快でジューシー。クリスピーな酸味が心地よくシャープで、ドライ、絶妙のバランスを保っている。親しみやすい味わいの中、硬質なミネラルを軸に颯爽とエレガントにまとめあげる。後には果実のフレーヴァー、さっぱりとしたフィニッシュ。
合う料理 シャルキュトリー、焼売、餃子、ムニエル、魚介の天ぷら、和食など。
2023年12月試飲
ワイングート マイアーラー
マイアーラーは、1767年にケステン村に設立された家族経営のワイングートです。ケステナー パウリンスベルク、ケステナー パウリンスホフベルク、ケステナー ヘレンベルク、オーザナー ローゼンベルクなどの畑を6.8ha所有しています。現在は、8代目のマティアス マイアーラーが意欲的なワイン造りを行っています。彼は、ガイゼンハイムを卒業後、フリッツ ハークで2006年から2013年まで、7年間修行を積みました。「フリッツ ハークで学んだ経験を醸造やワイナリー運営に活かしている」と彼は語ります。モーゼルのトップ生産者のもとで学んだマティアスですが、様々なことに挑戦し、より良いワイナリーを目指して日々奮闘しています。
たとえば、デンマークのミッケラーとコラボレーションするなど、フリッツ ハーク仕込みの伝統的なモーゼル リースリングの表現だけではなく、意欲的でモダンなワイン造りにも積極的に取り組んでいます。また、先代のクラウス マイアーラーの時代は90%がバルク販売でしたが、自社のブランドを広めていきたいという思いから、少しずつ元詰めワインの比率を増やし、現在は全て元詰めで販売をしています。「急斜面、粘板岩、リースリングが相互に影響し合うモーゼルほどユニークな微気候はほとんどない。これを守るのが私たちの仕事です」。
ケステン村の銘醸畑 ‟パウリンスベルク”
パウリンスベルクには、小さなサイズのスレート(灰色粘板岩と青色粘板岩が主。鉄分を含む赤色粘板岩も少し含まれる)が多く見受けられます。粘板岩が脆く細かいため保水性が高く、暑さに耐え得る土壌です。「ケステンはピースポート(土中の水分量が多い土壌)とブラウネベルグ(乾燥した土壌)の間にあり、2つ村の中間の特性を持つ」とマティアスは話します。大半が南東向きですが、一部にマイアーラーのみが所有する、真南を向いている区画があり、樹齢が古いため上級クラスのワインに使用します。また、パウリンスホフベルク(マティアスいわく、「19世紀の役人が無差別に引いた線によって分断されてしまった、ブラウネベルガー ユッファーの影に隠れた妹」)からも素晴らしいワインを生産しています。