ドメーヌ ドニ モルテ ジュヴレ シャンベルタン メ サンク テロワール 2017
アン マトロ0.35ha、オー ヴェレ1.3ha、それに他の村名畑0.85haをアッサンブラージュ。アン マトロのストラクチャーとオー ヴェレのしなやかさが一体となった、バランスのよい村名ジュヴレ シャンベルタン。豊かな果実味と同時に堅牢さも感じられ、アフターにはスパイシーな余韻が続く。
テイスティング コメント
紫がかった濃いルビー。ラズベリーやダークチェリー、プラムの香りにオレンジピール、ミックススパイス、リコリスのヒント。そしてスモーク、上品なロースト香。力強い果実香にも落ち着いた印象があり端正なる深みが感じられる。味わいはリッチかつしなやか。ミネラルを含み、ストラクチャーが堅固ながら比較的柔らかく全体的に丸みを帯びる。ジュワっと滲み出るような凝縮味で、高い純度と並外れたパワーを合わせ持つ。正にもぎたての、熟した果実をほうばっているかの様。味わい深く余韻も長い。(2017年はジューシーで、早いうちからから楽しめる。)合わせるお料理は、リブロース、仔羊・鴨肉のロースト、ジビエ、鶏肉やマグロの赤ワインソース煮など。
2020年10月試飲
ドメーヌ ドニ モルテ
今日、ドメーヌを運営するのは故ドニ モルテの長男アルノー モルテ。2006年、24歳の若さでこの名高いドメーヌの運営を任されることとなりました。13歳の頃からすでに父の手伝いをさせられていたそうですが、2000年以降、フルタイムで働いています。(メオ カミュゼとドメーヌ ルフレーヴにて研修)
ドメーヌ ルフレーヴで研修したのは自身もわずかながら白ワインを手がけ、ビオディナミにも興味があったため。ルフレーヴで働いた結果、ビオディナミの難しさを理解したといいます。今日、11.2haの畑はきわめてビオロジックに近く、化学肥料、殺虫剤、除草剤には頼らない栽培がとられています。
ドニ時代のドメーヌのワインは、いかにもジュヴレ シャンベルタンらしい、強い抽出と凝縮感をもつワインでした。しかし、息子のアルノーは、抽出が強過ぎるのではないかと父の造るワインに疑問を抱き、2000年にそれを訴えて以降、ピジャージュの頻度を減らすようになったそうです。
醸造法は、原則として完全除梗(2009年のような暑い年は半分くらい全房を含める)のうえ、低温マセレーション。発酵容器はコンクリートタンクを使います。1日1回のルモンタージュと2、3回のピジャージュ。新樽率も父の時代と変わり、以前はほぼ100%新樽熟成でしたが、現在は村名ジュヴレ シャンベルタンで60~70%まで下げています。(熟成期間は18ヶ月)
かつて5つの区画名入りジュヴレ・シャンベルタンを造っていたドニ モルテ。その後、それらをひとつにまとめた「ジュヴレ シャンベルタン メ サンク テロワール」に集約。それを今度は以下の3つのキュヴェに整理しました。アン マトロとオー・ヴェレを中心とするノーマルの村名ジュヴレ シャンベルタン。コンブ デュ デゥシュとアン ドゥレを中心に樹齢70~80年の古木を用いて造られる「ジュヴレ シャンベルタン ヴィエイユ ヴィーニュ」。それに1級シャンポーに隣接した、小石の多い樹齢70年の区画、アン シャンのみから造られる、唯一の区画名付き村名「ジュヴレ シャンベルタン アン シャン」。
アルノーの時代になり、ワインは力強さと同時にフィネスやエレガンスを備えたものとなり、口当たりはまろやかに、喉越しはスムーズに変化しているのは確かです。また、アルノーはマルサネやフィサンなどコート ド ニュイ北部のアペラシオンに関心を寄せ、この地域の畑を増やしており、それらのワインの品質がすこぶる高い。ジュヴレ シャンベルタンに比べてその6割程度の価格で入手可能なマルサネやフィサンは、じつにお値打ちなワインと言えます。