ドメーヌ ビュルル エスク 2021
「ヴァン ド ペイとしては良すぎるよ」と語る生産者の自信作
1987年に長男ベルナール(現フォン サラド)が植えた畑で、ジゴンダス村の南、ヴィオレスとサブレの川の近くのV.d.P.エリア。土壌は粘土と石灰岩。グルナッシュとシラーは10~15年樹齢、マルスランとカラドックは樹齢5年程の若い葡萄を使用。カラドックは、ワインにタンニンや色をもたらし、マルスランは、小粒で病気に強い品種です。収穫量の規定は90hL/ha以下ですが、半分の45hL/haに抑えています。V.d.P.には集約感を持たせたくないので、10日間に限って発酵させます。コンクリートタンクで12ヶ月熟成させます。ろ過も清澄もしません。
熟したプラムやカシスの華やかな香りがあります。口当りは滑らかで凝縮された果実味とスパイスが感じられます。果実味に負けないしっかりとしたタンニンのパワフルなワインです。グルナッシュが加わったことで、ローヌの地酒として楽しめるスタイルとなりました。「V.d.P.にしては良すぎるんじゃないの?!」とダミアンは笑顔で話していました。
テイスティング コメント
紫がかったルビーレッド /ガーネット。香りは熟したプラム、ブラックベリー、カシス、スミレの花のアロマに、爽やかなハーブ、スパイス、ほのかに甘草のタッチ。口当たりはなめらかで丸いタンニン、果実由来の甘さとスパイスのバランスがとれておりしなやかなテクスチャー。フレッシュな飲み心地で、気軽に楽しめる飲みやすさがある。
合う料理 肉・野菜のグリル、シャルキュトリ、ボロネーゼ、ラザニアなど。
2023年4月試飲
ドメーヌ ビュルル
ジゴンダスの巨匠、故エドモン ビュルルのワイナリー。2004年10月にエドモン ビュルルは他界し、3人の息子のうちの次男フローランと三男ダミアンがドメーヌを継ぎました。フローランは1995年から畑作業を中心に、ダミアンは1997年から醸造を中心に働いていました。しかしながらエドモンが亡くなってからはワインの品質は低下し、インポーターにおいても2004年はジゴンダスしか購入しなかったとか。父の偉業を背負うことに相当プレッシャーを感じていたようです。
そして、このことが2人に危機感を与えたようで、また家を出ていた長男ベルナールも彼らのことが気がかりで、2人に畑の管理方法を教えるなど、3人でビュルルのワインを復活させることに取り組みました。エドモンの時代には時間がなく出来ていなかった畑仕事を行い、エノロジストのアドバイスも聞くようにしました。その結果、エドモン以上の品質となり見事復活を遂げました。
フローランとダミアンは、「父の個性は尊重しているし、目指している所は一緒だと思うが、父とは違う個性を発揮したい。」と、目を輝かせ生き生きと語っています。良い品質のワインを造るためのポイントとしては、除梗をしない、長いマセラシオンを行う、完熟した葡萄の収穫をあげています。
葡萄栽培については、以下のようなこだわりを持っています。畑の土を耕し、地中深くまで葡萄の根が伸びるようにして、乾燥への耐久性を高め、深層部から養分を吸収するようにします。鍬入れをすることで微生物の数を減らすことなく、土壌の通気を良くすることが出来ます。化学肥料は一切使用せず、潰した葡萄の枝などを使用したオーガニックの堆肥を撒きます。カビ等の病害対策にはボルドー液と硫黄だけを使います。
1本の枝に対して芽は2つしか残しません。葡萄の葉がよく育ち、風通しがよくなるように葡萄樹を高めに仕立てます。光合成を行い、糖分を生成する器官である葉を育てることで葡萄の実が最大限に熟し、また風通しをよくして湿気による腐敗を防ぎます。5月にエパンプラージュ(胴吹きした芽を取り除く作業)、8月の終わりにグリーンハーベストを行います。日当たりの悪い場所についている葡萄は完熟しないので取り除きます。収穫を制限して品質の高い葡萄を育み、2003年のように実が完熟しても皮がしていない葡萄はだめで、皮まで完熟した状態で収穫したいと考えています。
【葡萄栽培】畑は全てオーガニックで管理。認証なし。化学的なものは何も使っていない。フェロモンカプセル等で害虫対策。枝を草と共にトラクターで耕し、自然のコンポストにする。
【酵母】天然酵母