ムーラン ド シトラン 2015
シャトー シトランのセカンドワイン。シャトー シトランよりは幾分ライトな味わいですが、十分複雑なコクと豊かな果実味を持つ芳醇な赤ワインに仕上げられています。
テイスティング コメント
艶のあるガーネット。香りは少し甘やかなチェリー、ラズベリー、プラムなどの果実香に甘草、スパイスのノートが混ざり合う。そしてタバコ、スモーク、土、皮革などの熟成香。口に含むとなめらかで溶け込んだタンニン、酸のバランスがとれておりしなやか。力強い果実味ながら柔らかに広がり緻密な構造を備えている。クラシカルで洗練されたボルドー。セカンドワインといえども妥協がない。
合う料理 ローストビーフ、鴨胸肉 マッシュルームソース、地鶏の炭火焼き、ハンバーグ、ビーフシチューなど。
2023年5月試飲
シャトー シトラン
クリュ クラッセに匹敵するクリュ ブルジョワ
13世紀まで遡ることができる、メドックの中でも長い歴史を持つ「シャトー シトラン」。クリュ ブルジョワとして格付けされたのは1932年。その後、第二次大戦後の1945年以降は所有者を変えながら、畑の全面植え替えや厳しい選別、新樽比率の向上などの改革を経て目覚ましく品質が向上。2003年にはブルジョワ スペリュールへと昇格を果たしています。パーカーも「クリュ ブルジョワ」の中でも最上級一つ」と評するなど、現在、その評価はクリュ クラッセに匹敵するとも言われています。
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート パーカーJr.著より抜粋
日本企業による買収から10年(1987年から1997年)で、このシャトーのワインの品質質は急上昇した。この成功にもかかわらず、シトランは精力的なジャック・メルローが経営するソシエテ・ベルナール・タイヤン社に売却されてしまった。セラーの修復、新しい所有者の肩入れ、新樽比率の引き上げ、選別をより厳密にしたこと(その結果としてセカンド・ワインを導入したこと)、そして総合的な優れた運営によって、最近数年間にわたってすばらしいワインを生み出すようになった。批判すべきことがあるとすれば、新樽の使用率を上げたために、ワインに唐突で、いぶしたような、ほとんど焦げたような特徴を与えたことだろうか。繊細さと微妙を持つクラレットを好んでいた人たちは、この派手な力強さには気をそがれてしまう恐れがある。
それでも、新しいヴィンテージは10年まではよく熟成するだろうし、シトランが以前に生産したどのワインにも増して著しく興味深く、心地よいワインである。伝統的で暗い感じのシャトー・シトランの瓶から、新しいデザイナーによる人目を引くラベルのついたラベルに替わったことで、値段がじりじり上がったことも指摘しておこう。ここはブルジョワ級のシャトーでも最上級の1つで、ワインはしばしば格付けシャトーをしのぐ。2000年、1996年、1990年、1989年といったヴィンテージは最高級である。