レ・グラン・ブラン 2015
従来、白はセミヨン100%を使って樽熟成させたキュヴェのみを造っていましたが、2013年にステンレスタンクだけで仕込んだワインを造ったところ、これが好評で2015年も再び造りました。葡萄の平均樹齢は50年、植密度は4,700本/ha。土壌は粘土シルト質です。収穫は区画ごとに手摘みで行います。発酵は天然酵母を使いステンレスタンクで行います。セミヨンらしい蜂蜜を思わせる甘い香り、ステンレスタンク100%とは思えないほどボリューム、豊かな果実味が感じられます。
【テイスティング・コメント】
淡いゴールド。粘性は高め。香りにはライムやレモンなどの柑橘類やアプリコット、黄桃などの甘い果実香にカモミール、ジンジャー、鉱物、そして蜂蜜のアロマ。アタックはソフトでなめらか、いやオイリーという表現が近く濃厚な果実感で満たされる。熟していてグリセリン分が大変豊か、それでいて程よく酸度があり、根幹にはミネラルがしっかりと感じられる。ステンレスタンク熟成とは思えないほどボリュームと丸み。このクラスとしては突出した飲み応えと高いアルコール分が備わっている。合わせるお料理は、ブールブランソースを添えた帆立のソテー、スモークサーモンのマリネ、白身魚の天ぷら、アヒージョ、鍋料理などがおすすめ。
※2016年12月試飲
■シャトー・ド・ラ・ヴィエイユ・シャペル
2006年よりフレデリックとファビエンヌのマリエ夫妻によって営まれるシャトー・ド・ラ ヴィエイユ・シャペルは、ボルドーから24kmほど離れたジロンド県の小さな村、リュゴン・エ・リル・デュ・カルネに位置しています。シャトーはもともと12世紀に建てられた古い教会で、ドルドーニュ川に面しています。その昔、聖母マリアを祭ったこの教会は、リュゴン・エ・リル・デュ・カルネ地区のカトリック文化の中心でした。またブルゴーニュの王や、北からやってきた異教徒との激しい戦いの場にもなりました。18世紀末のフランス革命前までは、ベネディクト会の修道士達がこの教会に住み、土地を管理していました。
オーナーのフレデリックは1984年から約1年間、日本語を学ぶために日本に留学していたことがあります。昼間は語学学校に通い、午後からはレストランでアルバイトをしていたそうです。そのため、少し日本語が話せます。しかも同じレストランで働いていたフランス人の奥様と出会い、それがきっかけで結婚に至ったとのこと。その後、いったんフランスに戻った後、約10年間、フランス企業の駐在員として中国に滞在した後、1998年にフランスに帰国しました。
ワイン愛好家で美食家の家庭に育ったフレデリックは若い頃から素晴らしいワインに接する機会に恵まれていました。40代を迎えた頃には、長年抱いていたワイン造りへの情熱を実現させたいと思うようになりました。フレデリックは冗談交じりに、「いわゆる中年の危機というやつだよ」と言っていました。家族や親しい友人の助けを受け、2006年にシャトー・ド・ラ・ヴィエイユ・シャペルを手に入れました。しかし、理想の土地を見つけるまでには14年もの月日がかかりました。フレデリックは、最初から最終的にはビオディナミでのワイン造りを目指していました。そのため、自然環境が守られている場所を探す必要がありました。ボルドーのみならず、ブルゴーニュやロワール、アルザスやプロヴァンスなどフランス中のワイン産地、100箇所を超える土地を見て回りました。
2008年からは化学的な農薬を一切使用せず、オーガニック栽培へと転換。2013年にオーガニック認証(エコセール)を受けています。2016年にはビオディナミの認証、デメテールの認証を受ける予定です。