トイスナー エンプレス・イーデン・ヴァレー・リースリング 2015
ケイントン近郊、標高400mの位置にある畑とイーデン・ヴァレー南部からハイ・イーデンにかかる樹齢50年の古木のブドウから造られています。
【テイスティング・コメント】
グリーンがかった淡いイエロー。粘性は中程度。香りには新鮮なグリーンアップル、ライムやグレープフルーツなどの柑橘類にグァバ、スイカズラ、ジャスミン。そして湿った粘土や鉱物、ミネラルのニュアンスが加わり、アロマオイルのような芳香性をもつ。アタックは爽やかでピリリとしたクリスピーな飲み口。果実味はピュアな旨みに溢れており、同時に酸味の豊かさが感じられる。伸びやかに口中に広がり、ミネラリーで味わいのバランスがよい。芯のしっかりとしたスタイルながら果実味は柔らかく親しみやすさがあり、心地よいシトラス・フレーヴァーがエレガントな余韻へと誘ってくれる。合わせるお料理は、和食、魚介料理、カレー風味の料理、鴨肉、ソーセージやベーコンなどがおすすめ。
※2017年1月試飲
■トイスナー・ワインズ
バロッサの新しい風
オーストラリアのワイン評論家ジェームス・ハリデーは、トイス ナー・ワインズを「バロッサに古くから存続する低収量・無灌漑の古木の畑を守ろうとする若い醸造家たちのニュー・ウェーブ」と評しています。
古木のグルナッシュの畑を守るため、2001年に誕生
醸造家のキムと友人で栽培家のミックは、バロッサのある著名なワイナリーで出会い、いつしか自分たちの理想を共有するようになります。トイスナー・ワインズの設立は、この2人がバロッサで6代続くブドウ栽培農家リプキー兄弟の話をパブで聞いたことをきっかけとします。
リプキー兄弟は、北部エベネザーにある祖父が植えた古いグルナッシュ畑の伐採を相談していました。その畑のブドウは古木で低収量であることに加え、グルナッシュを重要視しない“Big Boys”と呼ばれる大手ワインメーカーの一つに破格値で買い叩かれていました。売れば売るほど赤字になるグルナッシュをこれ以上育成管理できないと考えたリプキー兄弟は、この畑を当時人気だったシャルドネに植え替えることを考えていました。
この話を聞いたキムとミックは、コブだらけの古木の畑をなんとか救いたいと、ブドウを買い取り自分たちでワインにするための資金集めに奔走します。そしてようやく畑のブドウの1/4を買い取ることのできる資金を集めてリプキー兄弟を説得し、古木グルナッシュの畑を存続させることに成功しました。2001年、キムが27歳の時のことです。
バロッサの黒い宝石とコミュニティの繋がり
キム・トイスナーはバロッサの「黒い宝石」、特にグルナッシュ、マタロ、シラーズなどの古木が生み出す果実に深く魅かれていました。その思いはフランス、ローヌ地方への研修でいっそう深まったと言います。
トイスナー・ワインズの特徴は、古木が生み出す、粒が小さく厚い果皮を持ちバランスのとれた果実を風味豊かに表現することです。何世代にも亘って丹念に畑の手入れを続ける栽培農家との信頼関係、バロッサでワイン造りに携わる人々との緊密な繋がり、これらが厳選された良質な果実の確保を可能にし、トイスナー・ワインズの原動力となっています。
トイスナー・ワインズのスタイル
「なぜトイスナー・ワインズを設立したか」という問いに、キムは「自分が好きなワインを飲み、日々の暮らしを楽しみたいから」とシンプルに答えます。そこには自分たち自身も「多くの人が日常に飲めるワイン」を造っていきたいという思いも込められています。古木の畑から選んだ良質な果実でその土地らしさを生かしたワインを造り、リーズナブルな価格で販売すること。この条件を同時に満たすことは可能であり、そのようなワインこそ自分たちが目指すべきものであると、キムは確信しています。
伝統的な品種を用いて出来る限り干渉せず、自然なアプローチでブドウ本来の風味を引き出すことを重視するため、醸造過程の大半は手作業で行っています。澱引きはほとんどせず、清澄・フィルター無しで瓶詰めしています。
★評価
オーストラリア・グルメ・トラベラー:2007年度ヤング・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー獲得!
ジェームズ・ハリデー オーストラリアン・ワイン・コンパニオン:赤5ツ星獲得!