ドメーヌ・デュ・マス・ベシャ コート・デュ・ルーション キュヴェ・バリック 2014
より力強い構造をワインに与えるため、長期間の浸漬を行っています。熟成はバリック(木製小樽)で、年によって異なるものの8〜10ヶ月間。これにより、よりしなやかで絹のようなタンニンとよりしっかりとした構造をワインに与えています。
【テイスティング・コメント】
紫がかった深いルビー。粘性は高め。香りにはブラックチェリーやブラックベリー、カシスリキュールなどの凝縮した果実香にハーブ、ナツメグやクローブ、ペッパーなどのスパイシーなノート。バリックの名の通り特徴的な樽香がアクセントとなり、バニラやチョコ、エスプレッソなどの芳しい香りがリッチな奥行を生む。他に松、タバコ、ジャーキー、大地、ミネラルのニュアンス。アタックは強く濃厚な果実感、完熟度たっぷりの旨みに満ち溢れる。充実したアルコール、グリセリン分を伴う力強い酒質ながら質感はなめらかで口溶けのような広がりをもつ。豊富で丸いタンニンが層状の舌触りとボディに厚みを与え、豊かなコクのある味わいに仕上っている。アフターにかけてはエレガント、果実とオークのフレーヴァーが持続する。合わせるお料理は脂質の多いスペアリブ、ジビエ、ローストした牛やラム肉などがおすすめ。
※2016年9月試飲
■ドメーヌ・デュ・マス・ベシャ
スペインとの国境からわずか数キロの南仏に本拠地を置く25haを所有するドメーヌ。そのブドウ畑は標高55mから90mの3つの丘に分かれて存在しており、ピレネー山脈の麓から地中海との間にあるアスプル地方に位置しています。現当主シャルル・ペレス氏は2008年より農薬等を使用しない地球環境に優しいビオロジックを実践し、その丁寧に育てられた健全なブドウは彼が作り出す全てのワインに使用されています。またそのワインに採用されている家族の肖像が描かれたアートラベルは毎年、新しいアーティストによってデザインされています。
畑のある地域は、排水性に優れた氷河による浸食作用で生まれた丸い礫を含む粘土質石灰土壌からなっています。そのため、収穫期に降雨があったとしても、より凝縮したブドウが得られるという特徴を有しています。
マス・ベシャのワインには、伝統と血統、それらを尊重しつつさらに素晴らしさをもたらす現代性に溢れています。このスタイルは今後も引き継がれていきます。その約束の証としてドメーヌの家族のポートレートが各ボトルにあしらわれているのです。
マス・ベシャのワインの個性
それは例えばブドウ畑を歩いている際の気分の高まり、夏の灼けつくような太陽、ブドウが抜けてしまいそうなほどの強い風、ピレネーを駆け抜けドメーヌの間近にあるカニグー山の麓を横切る激しい嵐、それらを表現するものをワインの中へと引き出すことにあります。ワインの品質こそが全てであると考えるシャルル・ペレスの情熱が、テロワールの全てをワインへと引き出しています。
シャルル・ペレスは語ります。「そうとはいうものの、実際はドメーヌのワインを開けた時の楽しさに勝るものはなく、そのワインに何があるのかはもうお分かりの通り。ボトルの中にある嘘偽りのない液体、それこそが楽しい時間を約束してくれる。しかし注意して欲しい。マス・ベシャのワインは読み飽きのしない本と同じで、もう1本用意しておかないと飲み終わった時になんとも寂しい気分にさせられてしまうだろう。」