マルクグラフ・フォン・バーデン シュロス・シュタウフェンベルク シュペートブルグンダー トロッケン 2015
ピノ・ノワールの銘醸地、バーデンのエレガントでボディの楽しめるスタイルのピノ・ノワール。
醗酵:25%オーク樽醗酵、マロ・ラクティック醗酵
熟成:オーク樽熟成 12カ月(フレンチオークク225L、1200L、3000L、新樽比率30%)
テイスティング・コメント
明るいルビーに紫のトーン。粘性は中程度。赤いベリーやチェリー、プラムジャム、赤い花のアロマが広がり、クローブやシナモンなどのスパイスのヒント。そして木樽由来のバニラやトーストの香り、金属的なミネラルのニュアンスをもつ。透明感がありエレガントな趣、複雑さも感じられる。口に含むとスムーズでしなやか。ビロードのようになめらかなタンニンと調和のとれた酸味。緻密な構造の中にタンニンが骨格を形成し、全体に丸みを帯びている。果実そのもののピュアさに溢れており、香り同様に高い透明度と、充実した果実味・アルコール分が堪能できる。ミディアムボディでくっきりとした輪郭をもち、洗練された香気・香味の広がりが特徴的。合わせるお料理は、サーモン、カツオやマグロのたたき、ポークソテー、鴨ねぎ鍋、鶏肉の赤ワイン煮など。
2019年2月試飲
ヴァイングート・マルクグラフ・フォン・バーデン
900年に渡り愛されるロイヤル・ファミリー バーデンの君主として
バーデン大公国の君主として、20世紀初頭までの約900年間に亘りバーデンの地を統治してきたロイヤル・ファミリー。英国王室、スペイン王室、ギリシャ王族、モナコ公国などヨーロッパの王族と姻戚関係にあり、君主としての役割を終えた現在でも人々に尊敬の念とともに、大変愛されているファミリーです。現在は所有する城の一部を大学として開放する一方、3つの城でそれぞれのテロワールを活かしたワイン造りを行っています。
銘醸地、黄金の村ドゥルバッハ
ワイナリーの一つ、シュロス・シュタウフェンベルクでは、最も古い記録によると、882年にピノ・ノワールが栽培されていたという記載があり、1000年以上にも亘りピノ・ノワールの銘醸地として知られています。この地はまた優れたリースリングを育むテロワールとしても憧れの的となっています。城の一部はまた、レストランやワインバーとしても開放され、市民の憩いの場にもなっています。
気さくな人柄で愛される現代のプリンス
バーデンの発展を常に心に留め、公務を務める若きプリンス。
「自分が出ることでバーデンのこと、また素晴らしいこの地のワインが少しでも知ってもらえるなら」と、自らマーケティングの場にも積極的に参加されます。ローマ時代から王侯貴族が集う豪華な温泉リゾートとして知られるバーデンはまた、競馬も盛ん。日本とも深い交流があり、記念杯の贈呈などで来日されることもしばしばです。
“ワインは仕事以上のものを与えてくれる”
最適な区画でクオリティを求めるのが醸造家のアートと考えるキルヒナー氏。祖父も醸造家であり、若い頃は醸造とソムリエのディプロマを修めました。ここシュロス・シュタウフェンベルクはリースリングとシュペートブルグンダーのみ栽培。「自分にとってワインは仕事以上のもの。ワイナリーの全ての仕事、ワインを造ること、そして長く受け継がれたワインという文化に触れることが最高の喜び」、と語ります。
自然な農法を第一に心がける
誰もが憧れるテロワール
「黄金の村」と謳われ醸造家であれば誰もが一度はこの地でワイン造りをしてみたい、と思うほど憧れる見事なテロワール、ドゥルバッハ。ワイナリーでは、伝統的な栽培、つまり自然を尊重する栽培を心がけており認証は取得していませんがビオロジックで栽培を行っています。
ブドウの房を半分に切ってしまう!?
マルク・グラフ・フォン・バーデンでは、ブドウの成熟を最高の状態にして凝縮感を高めるために全てのブドウの房を早い段階で半分に切ってしまう、という驚くべき作業を行っています。収量は下がりますが、品質のためにはこうした大胆な作業も厭いません。
手を加え過ぎず、テロワールを表現する
「あくまでワイン造りに徹しますが、ワインメーカーという言葉は私たちにはしっくりときません。ワインは作るものではないからです。ドイツは大量に物を作る事が多く、考え方が工業的な生産者も多いです。ボトリング工場がドイツに多いのもその理由の1つです。マルクグラフ・フォン・バーデンはあくまで一造り手であり、小さい規模で、手摘みで丁寧に収穫、畑・ブドウありきの考え方は、手を加え過ぎず、バーデンのブドウをそのまま表現する事を哲学としています。」
畑には常に風が吹いている
風のおかげで菌が付き難い
シュロス・シュタウフェンベルク城を頂に広がる畑には、常に風が吹いているため、菌が付き難い環境にあります。ワイナリーの代表品種であるピノ・ノワールにもボトリティス菌が付いてしまう事がありますが、ブドウにとっては貴腐菌にならない限り、通常は毒でしかありません。そのため、畑の上部から吹き下ろしてくる風は菌を付けない為にも非常に重要です。品種に最適な区画を選ぶワイナリーでは、ピノ・ノワールは常に頂の最上部に栽培されています。