トライーニ キャンティ クラシコ ヴァッレヌォーヴァ 2019
醸造:完熟した葡萄のみを選別する為に2度にわたる選果。温度管理可能なステンレスタンクと木製の発酵槽併用にて醗酵。20日間のスキンコンタクト。8時間おきのルモンタージュ。週に一度デレスタージュ。48hlのフレンチオーク樽にてマロラクティック醗酵後、同容器にて10ヶ月(最初の4ヶ月は澱と共に)熟成。その後ステンレスタンク熟成2ヶ月、瓶熟2ヶ月。
評価
2018VT ガンベロ ロッソ: トレ ビッキエーリ獲得
テイスティング コメント
明るいルビーレッド。香りは赤や黒のチェリー、ドライオレンジ、リコリスのアロマにホワイトペッパー、タバコ、仄かにスモーキーなニュアンスが折り重なる。味わいはなめらか。果実味とスパイスのバランスがよくじんわりと口内を満たしていく。繊細にして十分な果実の熟度があり、タンニンはキメ細やかでクリーンな酸が味わいを支える。ストラクチャーがあり、柔らかさと上品さが際立った長い余韻が印象的。合わせるお料理は、鶏肉の煮込み、鴨肉のロースト、赤身肉のシチュー、ボロネーゼパスタなど。
2022年4月試飲
イタリアやフランスの銘醸ワインを押し退けて高評価を獲得!
ワイン スペクテーターの誌上企画にて、マスター オブ ワインのFred Dexheimer氏がNYを代表する9人のトップソムリエを集め、2008ヴィンテージの高級ワインを品種毎にブラインド テイスティングを行ないました。その結果「トライーニ」のワインがイタリアやフランスの銘醸ワインを押し退けて高評価を獲得しました。
サンジョヴェーゼ部門・・・アル・パッソが「モンテヴェルティーネ」、「ティニャネッロ」などを抑え1位!
メルロ部門・・・ピッコネロが「マセット」、「シュヴァル ブラン」を抑え1位!
カベルネ・ソーヴィニヨン部門・・・ヴァルディサンティが「ムートン ロートシルト」を抑え3位!
また、2014年の4月にも、マスター ソムリエのCraig Collins氏主催にて同様のブラインド テイスティング2010ヴィンテージ版が行われ、サンジョヴェーゼ部門にてアル パッソがティニャネッロを抑え2位に。メルロ部門ではピッコネロがシュヴァル ブランを抑え2位を獲得し、カベルネ ソーヴィニヨン部門でもヴァルディサンティがサッシカイア、オーパス ワンを抑え堂々2位に選出されています。
トライーニ
オーナーのピエール ルイジ トライーニは海外に渡り、一代で大きな成功を収めた、イタリアのワイン業界ではちょっとした有名人です。トスカーナ北部のガラファニャーナの貧しい家に産まれたピエール ルイジは、小さな頃から「貴族の様にワインを造りたい」と願い、サクセス ストーリーを信じカナダに渡り、カナダで最も大きな運送業者となります。そして1998年にトスカーナへと戻り、キャンティ クラシコの南部カステルヌォーヴォ ベラルデンガ地区に畑を買い、醸造所を設立しました。近代的な醸造設備を取り入れ、醸造のコンサルタントには、かのシンデレラワイン請負人ミシェル ロランを起用し瞬く間にキャンティ クラシコ地区のトップ生産者に踊り出ました。また、2017年からは、かつてラッダ イン キャンティのリヴェルナーノなどで醸造長を努めたアルベルト フジがゼネラルマネージャーに就任。醸造コンサルタントには「レ マッキオーレ」や「トゥア リータ」の醸造家ルカ ダットーマを採用しています。
畑のロケーション
トライーニの畑はキャンティ クラシコ南部のカステルヌォーヴォ ベラルデンガ地区に位置します。すぐ東南にはガイオーレの秀逸な生産者サンジュースト ア レンテンナーノ。更に東側にはベラルデンガの代表生産者フェルシナ等優良生産者がひしめき合うキャンティ クラシコの一等地で特に力強いサンジョヴェーゼが産み出されると言われています。
トライーニの畑はプロフィロディクロ(女性の曲線という意味)の形の緩やかな曲線の丘が特徴だと言います。この丘の形のおかげで風が吹くと空気の循環ができるとのこと。畑の中にオリーブの木が点々とあるのも、ぽつんと森があるのも全ては自然の中にある「バランス」の為だといいます。
所有する畑は大きく分けて2か所
■モンテベッロ(アル パッソ畑、キャンティ用、メルロ、プティ ヴェルド)
■サン ジョヴァンニ(主にヴァルディサンティ用のカベルネ ソーヴィニヨン&フラン)
トライー二では畝を交互に緑肥と堆肥で土壌を造っています。(1年おきに入れ替えるそうです)そうすることにより土壌の栄養分や水分量などをコントロールしています。畑のロケーションによっては緑肥と堆肥を使い分けたり、また全く必要のないところは緑肥も堆肥の使用もありません。また、畑によってですが灌漑も活用しています。これも全ての畑ではなく灌漑の必要な区画のみチョイスして設置しています。(通常のDOCGキャンティでは灌漑は出来ませんがIGTの為トライーニでは可能です。)つまり、土壌に合わせて灌漑、緑肥、肥料などの使用の有無をしっかりと見極めているとのことです。
畑はかなり斜度のきつい斜面です。斜面下部と上部では土の色も変わっています。つまり土壌の成分が違うため、同じ畝でもそのポイント毎にきっちりと土壌の管理も行われています。こういった細かい管理を広い畑で行うには、長時間低姿勢で畑仕事を行わなければならず、足腰の負担となり、かなり過酷なものです。これを効率よく作業できるようにトライーニでは専用の作業機を自社開発しています。座ったまま葡萄の樹の手入れ、収穫が出来る機械です。操縦も手を使わず足のみで行えるもので、操縦に手をとられることなく両手で畑仕事が行えます。
このように、労働環境にもしっかりと目を配り、働き手が働きやすい環境を作り出し、その結果がトライーニのワインのクオリティ、高評価に繋がっているのです。また、このエリアは降雨量が少ないとの事で、畑の衛生面に関しては絶好のロケーションです。その為、認証こそないものの「ビオ」と呼べるレベルの有機農法で葡萄が栽培されています。