クロ・バドン テュヌヴァン 2000
熟成:18~20ヶ月(新樽100%)
★評価
2000VT ワイン・アドヴォケイト:90点獲得!
【テイスティング・コメント】
オレンジがかったエッジの濃いガーネット。深みがあり、粘性は中程度より高め。香りにはブラックチェリーやブラックベリー、プラムなどの果実香にハーブ、ペッパー、特徴的な木樽由来のロースト香。スモーキーなエスプレッソの香り、香木やバニラ、杉、キャラメルを思わせる。さらになめし革、タール、茸、腐葉土などの熟成香があらわれており複雑性が増す。アタックはソフトでなめらか。未だ鮮度のある凝縮した黒系果実の風味。香り同様に芳しくスモーキーなオークの要素が綺麗に溶け込んでいる。キメ細かなタンニンはゆっくりと丁寧に抽出された証であり舌触りはシルキーで、完熟具合は良好、酸度は低く親しみやすさがある。まさに飲み頃に入っており、厚みが程よく、フィニッシュにほんのりと甘いグリセリン分が感じられる(味わいとしてはもちろん辛口)。合わせるお料理は、牛フィレや鴨肉のロースト、ビーフシチュー、ジビエ、茸料理、スモークサーモンなど。
※2018年1月試飲
■クロ・バドン テュヌヴァン
クロ・バドン テュヌヴァンは、ボルドー最高のサクセス・ストーリーとして知られるガレージワインの代表格“シャトー・ド・ヴァランドロー”のオーナー、ジャン・リュック・テュヌヴァン氏が手掛けるワインです。畑は「シャトー・パヴィ」と「ラルシ・デュカス」の間に位置する好立地にあり、醸造チームを率いるのは妻ミュリエル氏。1998年がファースト・ヴィンテージでメルロとカベルネ・フランで造られています。熟成期間は18~20ヶ月、新樽比率は100%です。
因みにラベルのニワトリのモデルは、実際にテュヌヴァン氏が自宅で飼っていた中国産のニワトリだそうで、友人から食用として贈られたものの情が移って食べられず、ずっと可愛がっていたのだとか。
シャトー・ド・ヴァランドロー
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
ヴァランドローがどのくらいよく熟成するか、一般の評価はもちろんまだだが、ワインは途方もなくリッチで、凝縮感があり、すばらしくくっきりした輪郭がある。1994年、1993年、1992年といった難しいヴィンテージですら、並外れた出来だった。ヴァランドローは、世界中の大金持ちのワイン・コレクターが、サン=テミリオンのどのシャトーのワインよりも探し回る小さな宝物となった。テュヌヴァンを批判する声は耐えないが(多くはボルドーの貴族的なシャトーの嫉妬である)、彼の影響力は広大し続けている。
彼は最も引っ張りだこのコンサルタントの1人であり、秀逸さへの執心とこだわりは、彼の途方もない味覚(同じぐらい才能のある彼の妻の助けが大きい)と共に、サン=テミリオンとその衛星地区の多くの凡庸なワインをよみがえらせてきた。品質にこだわる消費者の意識に、これらのワインを最も人気のあるものとして植えつけたのである。テュヌヴァンは、ミシェル・ロランと並んで、新しい世代のヴィニュロンたちに対し、もっともっと高い品質のワインをつくるよう刺激を与えてきた人物である。そのおかげで、ボルドー全体が多大な恩恵にあずかっている。
一般的な評価
ヴァランドローは、サン=テミリオンのガレージ・ワイン運動の事実上のリーダー格であるジャン・リュック・テュヌヴァンがつくったシャトーであり、現在まで、ボルドー最高のサクセスストーリーであることに間違いない。ボルドーで、いやそういう意味ではどこの地方であれ、シャトーができてからこんなに短期間でこれだけの商業的な成功を収め、目が回るような高い価格をつけたワインはない。ヴァランドローへの熱狂はすさまじく、価格は一級シャトーと同じくらい高いか、ひょっとすると上回るほどである。