マルティン ヴァスマー マークグレーフラーラント シュペートブルグンダー 2020
所有する以下の6つの畑のブドウから造られるキュヴェ。シュラッター マルテーザーガルテン、アウゲナーレッテン、ドッティンガー カステルベルク、エーレンステッター エールベルク、スタウフェナー シュロスベルク、ラウフェナー アルテンベルク。100%除梗後、1週間の低温浸漬。天然酵母にて発酵。オークの小樽(30%新樽)にて12カ月熟成。
評価
2015VT ワインガイドVinum:最優秀コストパフォーマンス賞受賞
テイスティング コメント
赤みがかったエッジのルビー。粘性は中程度より高め。香りは、バニラや香木を思わせる芳しいオークのノートが印象的で、熟したラズベリーやチェリー、プラムなどの凝縮した果実香をやさしく包み込むように広がる。他にローリエやポプリ、クローブ、タバコの葉、皮革のヒント。ほんのりと甘さがただよい、複雑性も感じられる。口に含むとソフトでなめらか。生き生きとした果実味が瞬く間に広がり、味わいはリッチで明朗、濃縮感がある。樽感が少し前に出るも嫌みがなく、フレッシュな酸味が調和。全体に旨みが行き渡り、タンニンは丸くキメ細やか、味わうほどにその美味しさが込みあがってくる。近づきやすく、ブルゴーニュワインの同価格帯で見れば間違いなくワンランク上の味わいで、アフターフレーヴァーの広がりが秀逸。合わせるお料理は、鴨肉のロースト、鴨と葱の陶板焼き、ソーセージ、スモークベーコン、カツオのカルパッチョなど。
2018年12月試飲(2015年ヴィンテージ)
マルティン ヴァスマー
ドイツのトスカーナとも称される、温暖な天候と地形に恵まれたバーデン最南部のマークグレーフラーラント。西側と南側をライン川で囲われたこの地はフランス、スイス、ドイツ3国の文化が入り交じる非常にユニークな所です。ワイン産地としては平地に植えられるグートエーデル種(シャスラー種)の軽い白ワインで有名な所で、かつては旨安ワインの地として認知されていました。しかしながら20世紀後半よりにわかに世界的な注目を集めるワイン産地となりました。その旗頭がこのマルティン ヴァスマー醸造所です。
黒い森の麓の南西向けの斜面には石灰岩、片麻岩など複雑な土壌形成を持つ丘が点在しています。さらにはどこまでも続く黒い森からの冷気はドイツ最南端の温暖な土地にぶどう栽培に最適な寒暖差をもたらしてくれます。
この地に生を受けた創業者マルティン ヴァスマー氏は1961年生まれ。ルドルフ シュタイナー教育の地元小学校を卒業後、一時は料理人を目指すも21歳にして故郷バートクロツィンゲン村に戻ってきました。両親が営むじゃがいもとトウモロコシの畑を引き継ぎ、新しくホワイトアスパラの栽培も始めます。自分で栽培したホワイトアスパラと地元のワインを味わうたびに覚えた違和感。もっとおいしいものができるのではないか。そんな感覚を持ち続けながら、なんと1997年に37歳にして醸造所設立を決意します。1998年にはブルゴーニュ、シャンボール ミュジニーのアミオ セルヴェルにて研修。物静かで、いかにも南ドイツ バーデンの農家の典型的な素朴なお人柄ですが、もっといいワインを造りたい!という情熱はとどまるところを知らず、3haでスタートした醸造所は今や35haとなりました。南北30キロに渡って超優良区画を所有しています。
才色兼備な麗しの人、サブリナ ヴァスマー氏
ドイツ ラインガウ地方の名門シュロス フォルラーツを経てアルザスのトリンバックにて研修。その後3年間応募し続け最後は直接交渉してメオ カミュゼにて研修を終えます。醸造所へ戻ってきたのは2015年。まだまだこれからが楽しみな87年生まれのサブリナさんから目が離せません。
サブリナ ヴァスマー氏