ジャック カシュー エ フィス ヴォーヌ ロマネ プルミエ クリュ ラ クロワ ラモー 2018
特級ロマネ サン ヴィヴァンの北東端に位置し、18世紀にはその一部となっていたという“ラ クロワ ラモー”。僅か0.6haというこの稀有な区画を所有しているのはラマルシュ、ジャック カシュー、クドレィ ビゾの3ドメーヌしか無く、中でも抜きんでる評価を得ているのがジャック カシューです。ヴォーヌ ロマネのプルミエ クリュの中では、頭一つ抜けた評価が与えられています。
テイスティング コメント
輝きのある、紫がかった濃いルビーレッド。香りはもぎたてのラズベリーやブラックベリー、プラムなどたっぷりとした果実のアロマが魅力的で、濃縮感が漂い、鮮烈な赤と紫の花々や、ハーブ、様々なスパイスの要素が混ざり合う。気品があり強い芳香性。艶やかなミネラルのニュアンスがピュアさ・透明感を与える。口に含むと肉付きが良くリッチで、凝縮した果実感で満たされる。非常に良く熟していてジューシーで、ビロードのようなタンニンが溶け込んでおり繊細さを合わせ持つ。濃密なスタイルで、堪らない充実感。インパクトのある果実味ながら酸とのバランスが優れ適度にオイリーな粘性が感じられる。親しみやすくもゴージャスで、現時点で純粋に美味しさが込みあがるモダンテイスト。余韻の長さも突出し果実とオークのフレーヴァーが持続する。合わせるお料理は、仔羊や鴨肉のロースト、牛のタタキ、ジビエ、鴨鍋、赤身マグロの醤油漬け、ベーコン、茸のリゾットなど。
2019年10月試飲(2016年ヴィンテージ)
ジャック カシュー エ フィス
ジャック カシューの名前が挙がると真っ先に思い浮かぶクリマは、ヴォーヌ ロマネ1級のラ クロワ ラモーでしょう。ロマネ サン ヴィヴァンに隣接する0.6ヘクタールのこのクリマはカシュー家のモノポールというわけではありません。ほかにも2軒のドメーヌが所有していますが、カシューを代表するクリマとしてよく知られています。もともとサン ヴィヴァン修道院の畑として、今日のロマネ サン ヴィヴァンに含まれていた区画であり、80年代半ばにはジャック カシューが特級昇格をINAOに申請した経緯があります。ラベルに見える十字架(クロワ)はこのクリマの石垣上にあり、ヴォーヌ ロマネにある5つの十字架のなかでも一番古いものだといいます。
94年にジャックは引退し、現在、ドメーヌの当主は息子のパトリスが務めています。眼鏡をかけた長身の彼は高校教師のような風貌で真面目一徹。クリマの特徴や樹齢などこと細かに記憶しており、それをわかりやすく説明します。
カシューが所有する畑の面積は合計6.7ha。ほとんどがヴォーヌ ロマネですが、ニュイ サン ジョルジュとシャンボール ミュジニーにも小さな区画をもっています。村名ヴォーヌ ロマネはクリマごとに醸造し、5つの銘柄に分かれます。栽培はリュット レゾネを実践。ブドウは完全に除梗し、ステンレスタンクを用いて醸造します。11〜15度の温度で1週間の低温マセレーションの後、自生酵母による自然発酵。その後、17ヶ月の樽熟成を施します。新樽率は村名で3分の1、一級以上は100%と高めですが、パトリスの造るワインは全体に果実の凝縮度が高いため、新樽を受け止めるには十分です。
リッチな果実味を主体とするモダンな造りですが、各クリマの特徴を見事に引き出し、バランスがとてもよいものです。またベーシックなブルゴーニュやブルゴーニュ オート コート ド ニュイでもたっぷりとした味わいがし、高い満足度を得ることができます。