ジャック カシュー エ フィス ブルゴーニュ ピノ ノワール レ シャン ダルジャン 2018
テイスティング コメント
紫がかった濃いルビーレッド。香りは熟したラズベリーやブラックベリーの果実香が溢れ、シナモンやスパイスのヒント、スモーキーなオークのニュアンスが複雑に混ざり合う。味わいはリッチでなめらか。並々ならぬ凝縮味で上品な酸味が調和。2018年の夏の猛暑に耐え、収穫時期を見誤ることなく高いレベルで収穫することができたジャック カシューはまさに勝ち組といえる。このレジョナルでさえ高いポテンシャルを秘め、しっかりしたパワフルさと格上のヴォーヌ ロマネに通じる美しさが構造の中で見てとれる。一日目はピュアでパワフルな果実味を、二日目はまろやかでエレガントに溶け込んだ層状の味わいが楽しめる。合わせるお料理は、仔牛のソテー きのこソース、鴨肉、テリーヌやパテなど。
2021年9月試飲
ジャック カシュー エ フィス
ジャック カシューの名前が挙がると真っ先に思い浮かぶクリマは、ヴォーヌ ロマネ1級のラ クロワ ラモーでしょう。ロマネ サン ヴィヴァンに隣接する0.6ヘクタールのこのクリマはカシュー家のモノポールというわけではありません。ほかにも2軒のドメーヌが所有していますが、カシューを代表するクリマとしてよく知られています。もともとサン ヴィヴァン修道院の畑として、今日のロマネ サン ヴィヴァンに含まれていた区画であり、80年代半ばにはジャック カシューが特級昇格をINAOに申請した経緯があります。ラベルに見える十字架(クロワ)はこのクリマの石垣上にあり、ヴォーヌ ロマネにある5つの十字架のなかでも一番古いものだといいます。
94年にジャックは引退し、現在、ドメーヌの当主は息子のパトリスが務めています。眼鏡をかけた長身の彼は高校教師のような風貌で真面目一徹。クリマの特徴や樹齢などこと細かに記憶しており、それをわかりやすく説明します。
カシューが所有する畑の面積は合計6.7ha。ほとんどがヴォーヌ ロマネですが、ニュイ サン ジョルジュとシャンボール ミュジニーにも小さな区画をもっています。村名ヴォーヌ ロマネはクリマごとに醸造し、5つの銘柄に分かれます。栽培はリュット レゾネを実践。ブドウは完全に除梗し、ステンレスタンクを用いて醸造します。11〜15度の温度で1週間の低温マセレーションの後、自生酵母による自然発酵。その後、17ヶ月の樽熟成を施します。新樽率は村名で3分の1、一級以上は100%と高めですが、パトリスの造るワインは全体に果実の凝縮度が高いため、新樽を受け止めるには十分です。
リッチな果実味を主体とするモダンな造りですが、各クリマの特徴を見事に引き出し、バランスがとてもよいものです。またベーシックなブルゴーニュやブルゴーニュ オート コート ド ニュイでもたっぷりとした味わいがし、高い満足度を得ることができます。