ドメーヌ・ルージョ・ペール・エ・フィス ブルゴーニュ シャルドネ レ・グランド・グット 2017
畑はピュリニー境界のムルソー南端で、1級畑シャルムから僅か500mに位置。1haで粘土石灰岩土壌、1950年~1980年植樹。平均樹齢55年。手摘収穫し、全房直接圧搾し、2日間低温浸漬。天然酵母による発酵はコンクリート製のバットで始まり、次にフレンチオーク+樽でマロ発酵が行われます。バトナージュ(ワインと底に沈殿した滓を攪拌する)無でオーク古樽18ヶ月熟成。
テイスティング・コメント
明るいイエロー。アプリコットやアカシア、サンザシの香りに、レモングラス、蜜、ミネラルのヒント。そしてヘーゼルナッツの香りに、バター、スパイシーなオークのノートが混ざり合う。華やかでたっぷりとした果実のアロマが印象的で、エレガントな趣がある。口に含むとなめらかでジューシー。格上のムルソーを彷彿とさせるリッチな味わいで、酸味は綺麗に溶け込んでおり生き生きとしている。凝縮感のある充実した果実味とテクスチャー、樽感とのバランスがよくボディは円やか、ふくよかなボリューム感で満たされる。温度が上がるにつれて味わいは深みを増していき余韻は長め、持続性がある。合わせるお料理は、鶏や豚肉のソテー、ホタテ、海老料理、牡蠣フライ、天ぷら、生ハムなど。
2019年10月試飲
ドメーヌ・ルージョ・ペール・エ・フィス
ルージョ家は5世代にわたりムルソーでワインを生産してきました。村の中心部にドメーヌはあり、有機栽培で低硫黄等の最小限の人的介入で静かながらも完璧なワインを生み出してきました。畑の大部分は1950年代後半に現当主ピエール・アンリ・ルージョの祖父が植樹し、1980年代初頭に彼の父が部分的に植え替えしました。18世紀の石造りの地下セラーは元々、隣接する果樹園用としてオスピス・ド・ボーヌの為に建てられたもので、19世紀にピエール・アンリの曾祖父が購入しました。2010年にピエール・アンリがドメーヌに戻って以来、栽培は有機農法を実践しています。2018年産から正式に有機認証取得予定。彼らの有機農法はブドウ畑の硫黄と銅の削減に積極的です。除草剤を使用した事はなく、2012年には全ての農薬の使用を中止しました。目的は、テロワールをより多く表現させ、より強いアイデンティティを得ることを可能にする事です。
彼らの哲学は持続可能な農業だけではなくワインから最も純粋な果物の表現を抽出する事です。醸造過程で使用される亜硫酸塩の量に関する実験を通して、亜硫酸塩がワインの芳香性の範囲と精度を低下させる事を発見しました。細かな対応と的確な処置で栽培時に畑の農薬の除去や硫黄と銅の削減につながっています。注意深く選別する事で亜硫酸塩の必要性を排除しました。2016年以降、亜硫酸塩は瓶詰め時にのみ使用され、一部のキュヴェでは全工程を通して亜硫酸塩無添加(日本未入荷)も試みています。白ワインは全房のまま空気圧でプレス、1~2日タンクで落ち着かせた後、伝統的な228Lの樽で天然酵母によって発酵。SO2を全く加えずに12〜18ヶ月熟成後、ワインをタンクに集め1ヶ月間休ませてから軽い濾過で瓶詰めします。瓶詰時にだけ白は少量のSO2を添加します。赤ワインのブドウは厳格に選別され全房で破砕し、天然酵母で発酵されます。大半はコンクリートタンクや木製のバットで15〜18日間マセラシオンされ、1日1~2回ポンプオーバーします。伝統的な228Lの樽で硫黄無添加のまま上質な澱の上で12〜18ヶ月間熟成され、その後、タンクに集め、瓶詰めする前に1ヶ月間休ませます。赤も少量のSO2が瓶詰め時に極少量添加されます。
フランス中を旅し経験豊富なピエール・アンリはソミュールやカオールなど幅広い地域の友人たちによって触発され、柔らかい感性でブルゴーニュの伝統にエッセンスを与え、強く溶け込む為の独特のビジョンを与えています。無硫黄での醸造は、自然なワインのアプローチと伝統的なブルゴーニュのテクニックを、エネルギーとバランスのあるワインを生み出すために見事に成し遂げています。
ワインはとても精力的で、精緻で、そして美味しさに満ちています。このような説得力のあるワインを生産しながら、このドメーヌは静かに黙々と自らの成すべき仕事を完璧にこなしてきました。年産合計2万5千本という少量生産の為、これまであまり知られてきませんでしたが、称賛に値する素晴らしいドメーヌであることは間違いありません。