ベルンハルト・コッホ シャルドネ フォン・レス Q.b.A. トロッケン 2018
シャルドネの区画は南西向きで、標高182mです。土壌は石灰岩を含みます。手摘みで収穫します。発酵はステンレスタンクで18〜21度にコントロールしながら行います。そのままステンレスタンクで6ヶ月熟成させます。力強くきれいな果実味、爽快感があります。
テイスティング・コメント
明るいレモンイエローにグリーンのトーン。アプリコットや白桃、メロン、爽やかなライムの香り。そしてチョーク、石灰的なミネラルのヒント。白い花やほんのり蜜のような甘さが感じられ、洗練された趣がある。味わいはしっかりとしていて純粋。実直な個性を持ちミネラルを芯に果実味が生き生きとしている。調和のとれたキメ細かな酸味が味わいに透明感を与え、ドライ感のあるさっぱりとした後味が印象的。余韻に果実のフレーヴァー、過熟無く搾りたての果汁の様で、ミネラルのほろ苦さが心地よいアクセント。合わせるお料理は、サラダや白身魚のカルパッチョ、サーモンのマリネ、魚介を中心とした料理、和食、ブルスケッタなど。
2019年12月試飲
ベルンハルト・コッホ
ファルツのハインフェルトにある家族経営のワイン生産者です。これまでは国内(近隣)の個人客への販売がほとんどで、輸出は行っていませんでした。
南ファルツは、粘土石灰質土壌のため、ピノ・ノワール、シャルドネ、ヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダーなどに力を入れています。他にも、ドルンフェルダーやカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロを植えており、20品種以上を手掛けています。生産比率は、赤白各50%ずつです。
日本人ケラーマイスター
ケラーマイスターは日本人の坂田千枝さんが勤めています。兵庫県出身。兵庫県は果樹が豊富な県で、幼い頃より果樹栽培の仕事をしたいと考えていたそうです。
「地元の農業高校に進学し、17歳の時にドイツにホームステイへ行きました。それがきっかけとなり、高校卒業後、ドイツへ行くことを決心しました。」と坂田。その後、ドイツの職業訓練カリキュラムを進み、ゲオルグ・ブロイヤー(ラインガウ)で9ヶ月、マイヤー ネーケル(アール)で3年間の研修の後、国立ヴァインスベルク醸造栽培学校でさらに専門的な知識を学び、ケラーマイスターの資格を取得しました。
「自分は日本人の女性で、ドイツの人たちに比べ体も小さく、12~13歳の頃からトラクターに乗ってワイナリーの仕事を手伝っている彼らとは大きな差がありました。畑作業の手伝いだけではお給料も少なく、この先どうしようと考えたときに、醸造の道へ進むことを決めました。醸造のクラスでは25人中、女性は自分一人でした。また、フランスへ日本人の女性がワイン造りに行くことはありますが、ドイツに行く人はほとんどいません。そのためドイツでワイン造りに携わることを考えていた私は、募集のあったベルンハルト・コッホへ入りました。その後、ケラーマイスターとして働くようになり、ケラーマイスターとして現在まで6年間勤めています。ベルンハルトから学んだことは『お客様が求めるワインをつくること』。自分一人でセラーを担当しており、ベルンハルトは私が希望することをやらせてくれます。ピノ・ノワールやシャルドネの収穫時期は自分も畑に出ます。」と坂田さん。
こだわりのワイン造り
ワインのベストな状態を考えて、添加物は極力加えないようにしています。赤は基本的にノンフィルター、白はベントナイト処理を行わないようにしています。低価格帯のワインにも1つ1つたんぱく質沈殿率のチェックを行っています。「低価格帯のワインも、上級クラスのワインにも同じ労力をかけています。」と坂田さんは語ります。酵母は選別酵母ですが、2009年にブルゴーニュ スタイルのピノ・ノワールを造り始めて以来、2013年頃から「ヴィヌム」や「ゴーミヨ」などのワインガイドに掲載されるようになりました。ブルゴーニュのピノ・ノワールが好きで、それに近づけていきたいと考えています。