ベルンハルト・コッホ シュペートブルグンダー Q.b.A. トロッケン 2017
シュペートブルグンダーの評価はファルツでもトップクラス
畑は南西向きで、標高182mです。手摘みで収穫します。土壌は石灰岩を含みます。発酵はステンレスタンクで22〜30度にコントロールしながら行います。12%を樽に移し、ステンレスタンクと樽で14ヶ月熟成させます。ラズベリーやチェリーの香り。やさしい口当たりで、余韻に酸が調和します。
テイスティング・コメント
鮮やかなチェリーレッド。香りはフレッシュかつチャーミングなラズベリーやチェリーのアロマが印象的で、他に紅茶や森林、ミネラルのヒント。澄んだ透明感がある。口に含むとジューシー。エキス分が充実し溢れんばかりに広がる果実味は親しみやすく程よい残糖感と併せてアルコール感が支配する。柔らかな口当たりで、香り同様に味わいもまたクリアー。ミディアムボディで飲み心地が良い。快活で、調和のとれた酸味が余韻を引き伸ばし、後に果実のフレーヴァー、持続性がある。合わせるお料理は、ソーセージ類、豚肉のリエット、トマトベースの煮込み料理、出汁や醤油を使った料理、肉じゃがなど。
2019年12月試飲
ベルンハルト・コッホ
ファルツのハインフェルトにある家族経営のワイン生産者です。これまでは国内(近隣)の個人客への販売がほとんどで、輸出は行っていませんでした。
南ファルツは、粘土石灰質土壌のため、ピノ・ノワール、シャルドネ、ヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダーなどに力を入れています。他にも、ドルンフェルダーやカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロを植えており、20品種以上を手掛けています。生産比率は、赤白各50%ずつです。
日本人ケラーマイスター
ケラーマイスターは日本人の坂田千枝さんが勤めています。兵庫県出身。兵庫県は果樹が豊富な県で、幼い頃より果樹栽培の仕事をしたいと考えていたそうです。
「地元の農業高校に進学し、17歳の時にドイツにホームステイへ行きました。それがきっかけとなり、高校卒業後、ドイツへ行くことを決心しました。」と坂田。その後、ドイツの職業訓練カリキュラムを進み、ゲオルグ・ブロイヤー(ラインガウ)で9ヶ月、マイヤー ネーケル(アール)で3年間の研修の後、国立ヴァインスベルク醸造栽培学校でさらに専門的な知識を学び、ケラーマイスターの資格を取得しました。
「自分は日本人の女性で、ドイツの人たちに比べ体も小さく、12~13歳の頃からトラクターに乗ってワイナリーの仕事を手伝っている彼らとは大きな差がありました。畑作業の手伝いだけではお給料も少なく、この先どうしようと考えたときに、醸造の道へ進むことを決めました。醸造のクラスでは25人中、女性は自分一人でした。また、フランスへ日本人の女性がワイン造りに行くことはありますが、ドイツに行く人はほとんどいません。そのためドイツでワイン造りに携わることを考えていた私は、募集のあったベルンハルト・コッホへ入りました。その後、ケラーマイスターとして働くようになり、ケラーマイスターとして現在まで6年間勤めています。ベルンハルトから学んだことは『お客様が求めるワインをつくること』。自分一人でセラーを担当しており、ベルンハルトは私が希望することをやらせてくれます。ピノ・ノワールやシャルドネの収穫時期は自分も畑に出ます。」と坂田さん。
こだわりのワイン造り
ワインのベストな状態を考えて、添加物は極力加えないようにしています。赤は基本的にノンフィルター、白はベントナイト処理を行わないようにしています。低価格帯のワインにも1つ1つたんぱく質沈殿率のチェックを行っています。「低価格帯のワインも、上級クラスのワインにも同じ労力をかけています。」と坂田さんは語ります。酵母は選別酵母ですが、2009年にブルゴーニュ スタイルのピノ・ノワールを造り始めて以来、2013年頃から「ヴィヌム」や「ゴーミヨ」などのワインガイドに掲載されるようになりました。ブルゴーニュのピノ・ノワールが好きで、それに近づけていきたいと考えています。