ドメーヌ モンジャール ミュニュレ ヴォーヌ ロマネ 2018
樹齢:45~72年。熟成:新樽30~40%。
テイスティング コメント
紫がかったルビー、やや深みのある色調。粘性は中程度。香りはラズベリーやブルーベリーにチェリーリキュール、アイリス、ドライハーブ、ドライフラワー、そして上品なオークのノートがアクセント。バニラやシナモン、お香などの芳しい香りが広がり、深部から花の蜜、リコリスのような甘い香りが立ち上る。口に含むとなめらかで舌触りはビロードの様。豊かな果実感で満たし、凝縮味があるがそれでいて気高さが感じられる。タンニンは丸くキメ細かく酸味は穏やかで、飲みやすい印象を受ける。まろやかな質感と構造のバランスがとれておりボディは中庸の、しなやかなミディアムからフルボディタイプ。ジューシーで、程よく果肉感もあり甘美なる長く続く余韻をもつ。今飲んでも美味しい、さらなる熟成のポテンシャルも秘めている。合わせるお料理は、牛や鴨肉、仔羊のロースト、ジビエ、赤身マグロの醤油漬け、トリュフを使った料理、寿司など、チーズであればエポワスやサン・フロランタンがおすすめ。
2019年4月試飲(2016年ヴィンテージ)
ドメーヌ モンジャール ミュニュレ
モンジャールの姓は17世紀の初め、1620年頃からブルゴーニュで見られ、代々ブドウ栽培を生業としてきた家系。現当主ヴァンサン モンジャールの父、ヴォーヌ ロマネ村の村長も務めたジャンの時代にドメーヌは大きく成長しました。さらにヴァンサンが拡大し、現在、ブドウ畑の面積は33ha。北はマルサネから南はサヴィニー レ ボーヌまで35のアペラシオンを数えます。
リシュブールも所有するとはいえ、このドメーヌの華はなんといってもエシェゾーとグラン ゼシェゾー。それぞれ2.6ha、1.44haという面積は、ドメーヌ ド ラ ロマネ コンティに次ぐ広さです。前者はエシェゾー デュ デュス、ルージュ デュ バ、レ トゥルーの3つの区画に分かれ、1929年に植樹したルージュ デュ バのブドウはすべてエシェゾー ヴィエイユ ヴィーニュとして瓶詰めされます。レ トゥルーはエシェゾーでも最下部にあるので、肉付きがよく豊満な一方で複雑味に欠けると、ヴァンサンはいいます(ちなみにこの区画のワインは全量アメリカ向け)。日本向けのエシェゾーはもっとも優れたワインを生むとされるエシェゾー デュ デュスだそうです。
除梗率はクリマとヴィンテージによって異なり、相対的にエシェゾー ヴィエイユ ヴィーニュやグラン ゼシェゾーはエシェゾーよりも全房の比率が高い。それもあって、とくにグラン ゼシェゾーは構造のしっかりした筋肉質のワインとなります。
ブドウ栽培では2003年から一部の畑(ニュイ サン ジョルジュ1級ブード、ヴォーヌ ロマネ1級シュショ、プティ モン、それに全特級クリマ)でビオロジック農法を始めています。それ以外の畑はリュット レゾネですが、これだけ広範囲にわたる畑を農薬に頼らず耕作するのは大変なことです。
父ジャンの時代、このドメーヌのワインは新樽の香りが顕著に感じられたものが、近年のワインは樽香が果実味の中にきれいに溶け込んでおり洗練さを増しています。また、価格的にリーズナブルで質の高い特級畑のワインを探している人に安心して薦められるワイナリーの一つとしてこのドメーヌがあり、中でもエシェゾーは狙い目のアイテムと言えます。