デア クライネ フリッツ リースリング 2022
シュヴァイゲン村から北に15km、ゲックリンゲン村のリースリングを使用。主な区画はVDP認定グラン クリュ“ラインスヴァイラー ゾンネンベルク”から。パイナップルを中心とした南国系果実の旨みがぎっしりと詰まっており、口に含んだ瞬間からジューシーな果実感が広がり、丸みのある酸がほどよく全体の印象を引き締めてくれています。一度飲んだらやみつきになる、満足度の高い辛口リースリング。
テイスティング コメント
外観はレモンイエロー、微かにグリーンのトーン。熟したリンゴやパイナップル、桃、洋梨などのフルーティーなアロマ。そして白い花の香り。ムスクやミント、森を思わせる爽やかなニュアンスも感じる。味わいは力強くジューシー。ボリュームのある果実味としっかりとしたミネラル感、ピチピチと弾けるシャープな酸味がバランスよく交わる。すっきりとした飲み心地で、フィニッシュはドライ感。メーカー曰く、「一度飲んだらやみつきになる」、正にそう!溌剌とした味わいがシンプルに美味しい。
合う料理 唐揚げ、鶏・豚肉のソテー ジンジャーソース、寿司、甲殻類料理など。
2024年4月試飲
デア クライネ フリッツ ~ by Friedrich Becker Jr. ~
~The story of “DER KLEINE FRITZ”~
「デア クライネ フリッツ」はベッカー醸造所現当主フリッツさんが、同じファルツの親友ゲックリンゲン村のトーステン ドールさんとマイカンマー村のマティアス スタッヒェルさん2人のブドウを使用して作る、新ブランドです。グラン クリュなどの超優良区画を保有しながらも共同組合に卸すしかなかった2人の畑をベッカー醸造所の品質基準を導入しブラッシュアップ。本家ベッカー醸造所のものと全く孫色の無い高品質なブドウが手に入るようになりました。収穫されたブドウは、破砕から醸造、瓶詰に至るまで全てベッカー醸造所にて行われています。
ベッカー醸造所のワインとの違いはそのスタイル。
“より多くの人にワインを楽しんでもらいたい”というコンセプトの下、ブドウ本来の純粋さを前面に出しながらも、フリッツさんらしいエレガンスは健在。グラスがどんどん進む、飲み飽きしない味わいに仕上がっています。
ベッカー醸造所
ファルツの巨大協同組合の跡継ぎだったベッカー氏は、品質へのこだわりから1973年、父の猛反対を押し切って独立します。当初は甘口や貴腐ワイン用の甘いぶどうばかり栽培していた他の農家から「ベッカーのぶどうは酸っぱくてまずい」と理解を得られぬままでしたが、わずか20年で、ワインにかける不断の努力と情熱から、ドイツのピノ ノワールのトップの1人に登り詰めました。
2006年には、ドイツで最も権威のあるワインガイド「ゴーミヨ」誌で、今最も注目に値する醸造家に贈られる「ライジングスター」賞を受賞、さらに2004年~2012年にかけて、同誌で9年連続最優秀赤ワイン賞を受賞し、他の醸造家の追随を許しません。2008年には洞爺湖サミットでもベッカーのピノ ノワールが使用され、来賓の方々を唸らせたことも話題となりました。
醸造所のあるシュヴァイゲン村はファルツの最南端。ベッカー氏はなんとフランスとの国境を越えて畑を所有しています。20世紀前半の混乱から何度となく国境線が入れ替わったこの土地ならではの逸話です(歴史的背景により、所有畑がフランス アルザスとの国境をまたがっています。戦後の混乱期、1955年の独仏両国の特殊な法律によって、フランス領で栽培されたぶどうを使用してもドイツで醸造すればドイツワインとして販売することが可能になりました。)。
豊かな森に囲まれた地に彼は森も所有し、ワインの熟成に使用される樽の3分の2は自己所有の森のオークを使用しています。「世界一エレガントなワインを造る」ことを目標に掲げ、ワイン造りに命をかけるベッカーが醸すワインは果実味に溢れ、風味豊かながらも一貫してキレイな味わいです。また、化学肥料に頼らない、自然な農法を実践しているのもベッカー醸造所の特徴の1つです。