フリードリッヒ・ベッカー シャルドネ Q.b.A. トロッケン 2017
ファルツ最南端、シュヴァイゲン村の最良区画・石灰質砂岩土壌からのシャルドネを全て手摘みで収穫。ドイツ産オークの大樽(1200L)15%、残りはステンレスタンクにて天然酵母で発酵後、5か月のシュール・リーを経て、とても上品なアロマとミネラル感溢れるエレガントなワインに仕上がっています。
テイスティング・コメント
グリーンがかった淡いレモンイエロー。粘性は中程度。香りは新鮮なリンゴや洋梨、白い花のアロマに、オレンジピール、鉱物、ミネラルのヒント。僅かにスモーキーなナッツのニュアンスに、奥から立ち上る花の蜜のような甘い香りが魅力的。爽快なアタック。シュール・リーならではのピリリとしたクリスピーな飲み口で、生き生きとしたクリアーな酸と強固なミネラルが味わいの核となる。直線的で、鮮明な、しっかりとした果実味をもち、ジューシーだがキレの良いフィニッシュ。後にはグレープフルーツやミネラルのようなほろ苦さ、酸の余韻が心地よい。合わせるお料理は、繊細な食材を使った和食全般、刺身、寿司、白身魚のカルパッチョ、ローストチキン、鶏肉のトマト煮など。
2019年5月試飲
ベッカー醸造所
ファルツの巨大協同組合の跡継ぎだったベッカー氏は、品質へのこだわりから1973年、父の猛反対を押し切って独立します。当初は甘口や貴腐ワイン用の甘いぶどうばかり栽培していた他の農家から「ベッカーのぶどうは酸っぱくてまずい」と理解を得られぬままでしたが、わずか20年で、ワインにかける不断の努力と情熱から、ドイツのピノ・ノワールのトップの1人に登り詰めました。
2006年には、ドイツで最も権威のあるワインガイド「ゴーミヨ」誌で、今最も注目に値する醸造家に贈られる「ライジングスター」賞を受賞、さらに2004年~2012年にかけて、同誌で9年連続最優秀赤ワイン賞を受賞し、他の醸造家の追随を許しません。2008年には洞爺湖サミットでもベッカーのピノ・ノワールが使用され、来賓の方々を唸らせたことも話題となりました。
醸造所のあるシュヴァイゲン村はファルツの最南端。ベッカー氏はなんとフランスとの国境を越えて畑を所有しています。20世紀前半の混乱から何度となく国境線が入れ替わったこの土地ならではの逸話です(歴史的背景により、所有畑がフランス・アルザスとの国境をまたがっています。戦後の混乱期、1955年の独仏両国の特殊な法律によって、フランス領で栽培されたぶどうを使用してもドイツで醸造すればドイツワインとして販売することが可能になりました。)。
豊かな森に囲まれた地に彼は森も所有し、ワインの熟成に使用される樽の3分の2は自己所有の森のオークを使用しています。「世界一エレガントなワインを造る」ことを目標に掲げ、ワイン造りに命をかけるベッカーが醸すワインは果実味に溢れ、風味豊かながらも一貫してキレイな味わいです。また、化学肥料に頼らない、自然な農法を実践しているのもベッカー醸造所の特徴の1つです。