フリードリッヒ ベッカー カルクメルゲル グラウアー ブルグンダー 2020
泥灰石灰岩を意味するワイン名。長期低温浸漬後、オークの大樽で発酵熟成。ロゼ色がかった色合い。クリアーで酸もしっかりとしている滋味と旨みに溢れた味わいです。
テイスティング コメント
輝きのあるオレンジ/サーモンピンク、やわらかな色調。香りはブラッドオレンジやグレープフルーツ、ザクロ、リンゴのアロマに、バラのドライフラワー、スパイス、石灰的なミネラルのヒント。新鮮味が溢れており僅かに香ばしい樽のニュアンスが混ざり合う。味わいはフレッシュかつジューシー。凝縮感のある力強い果実味と張りのある酸味、そしてキメ細かなミネラルを含み少しストイックな印象。たっぷりとした旨みがあり何とも鮮やかで、口中隅々まで染み渡る。非常に綺麗なスタイルで焦点が定まった後味。滋味深さを感じさせすっきりとしたフィニッシュ。合わせるお料理は、豚・鶏肉のロースト、ソーセージ、トマトソースベース料理、中華、鯛の昆布締め、寿司など。
2020年4月試飲(2018年ヴィンテージ)
ベッカー醸造所
ファルツの巨大協同組合の跡継ぎだったベッカー氏は、品質へのこだわりから1973年、父の猛反対を押し切って独立します。当初は甘口や貴腐ワイン用の甘いぶどうばかり栽培していた他の農家から「ベッカーのぶどうは酸っぱくてまずい」と理解を得られぬままでしたが、わずか20年で、ワインにかける不断の努力と情熱から、ドイツのピノ ノワールのトップの1人に登り詰めました。
2006年には、ドイツで最も権威のあるワインガイド「ゴーミヨ」誌で、今最も注目に値する醸造家に贈られる「ライジングスター」賞を受賞、さらに2004年~2012年にかけて、同誌で9年連続最優秀赤ワイン賞を受賞し、他の醸造家の追随を許しません。2008年には洞爺湖サミットでもベッカーのピノ ノワールが使用され、来賓の方々を唸らせたことも話題となりました。
醸造所のあるシュヴァイゲン村はファルツの最南端。ベッカー氏はなんとフランスとの国境を越えて畑を所有しています。20世紀前半の混乱から何度となく国境線が入れ替わったこの土地ならではの逸話です(歴史的背景により、所有畑がフランス・アルザスとの国境をまたがっています。戦後の混乱期、1955年の独仏両国の特殊な法律によって、フランス領で栽培されたぶどうを使用してもドイツで醸造すればドイツワインとして販売することが可能になりました。)。
豊かな森に囲まれた地に彼は森も所有し、ワインの熟成に使用される樽の3分の2は自己所有の森のオークを使用しています。「世界一エレガントなワインを造る」ことを目標に掲げ、ワイン造りに命をかけるベッカーが醸すワインは果実味に溢れ、風味豊かながらも一貫してキレイな味わいです。また、化学肥料に頼らない、自然な農法を実践しているのもベッカー醸造所の特徴の1つです。