ヴィニエティ ザブ イル パッソ 2022
ネレッロ・マスカレーゼは、ピノ・ノワールに似たエレガントな個性を持っていますが、地元では色が薄く糖度があがらないと言われていたため、アマローネ的な効果を与えることにしました。結果、色が濃くなり、糖度もあがり、フルーティなワインに仕上げることが出来るようになりました。10月上旬に畑で房の付いたまま枝をカットし、樹上で7~14日間乾燥させます。シチリアの暑い太陽とアフリカからの風が、糖分を増加させます。15~20%重さが減ります。20日間発酵し、果皮と共に長い醸しを行います。バリック(主に新樽)で(95%フレンチオーク、5%アメリカンオーク)4~5ヶ月熟成します。
パッソには、「乾燥した」という意味と「歩み」という意味があり、ラベルに足跡が描かれています。リパッソを意識した名前であると同時に、畑での手作業を含め一歩一歩最高の品質に向かって前進するイメージです。
テイスティング・コメント
エッジが紫がかった濃いルビー。粘性は中程度よりやや高め。熟したカシスやラズベリー、ザクロ、スミレのアロマが豊かで、ブラックペッパーやハーブ、バルサミコ、金属的なミネラルのヒント。甘さがあり程よく引き締まったエレガントな香りで、やさしいバニラやチョコ、ローストしたオークのノートが包み込むように広がる。口に含むとソフトでまろやかなボディにジューシーな果実味が伸びやか。様々なベリーフルーツやカシスの風味にスパイス、オークの要素が溶け込んでおり、香り同様の華やかさ・含み香の広がりが味わいに幅をもたらしている。濃縮感があるが重く残ることがなく上品な酸とのバランス。飲み心地がスムーズで、コクと旨みたっぷりの豊かな味わいに仕上がっている(ミディアムからフルボディ)。合わせるお料理は、グリルした肉、サラミ、トマトソースベース料理、パスタ、ナスの肉味噌詰めなど。
2019年1月試飲(2017年ヴィンテージ)
ヴィニエティ ザブ
ファルネーゼの主任エノロゴ、フィリッポ・バッカラーロは、ザブの元オーナーで友人であるアディア・ヴィッラに畑を見せられた際、その畑の持つポテンシャルに魅了され、個人的に関わるようになりました。現在はアデュア・ヴィッラの所有地(25ha)をファネーゼ・グループが引き継ぎ、独自で所有しています。葡萄は、自家畑25haからと、契約農家からの買取り葡萄を使っています。買取り葡萄は主にスタンダードクラス(ザブシリーズ)に使い、他のクラスは主に自社畑の葡萄を使用しています。
ザブでは、土着品種に力を入れていますが、シャルドネ、シラー、メルロは、シチリアで高いポテンシャルを持つため、一部ですが栽培を続けています。エノロゴは、フィリッポ・バッカラーロの他に、ザブ常駐のエノロゴとして、2013年10月からジュゼッペ・アルファーノ(35歳、シチリア出身)が加入しました。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、フランス(プロヴァンス)等、世界各地のワイナリーで経験を積んでいます。フィリッポは、収穫時など、重要なポイントに訪れ、全体の指示を出しています。
ワイン造りは、2010年よりパートナー契約を結んでいる共同組合で行っています。カンティーナは、サンブーカ・ディ・シチリアにあり、パレルモから南に約90km、シリチア島の南西部、アグリジェント県に位置します。醸造設備は、主に組合のものを使用していますが、クロスフロー・フィルターなどファルネーゼが持ち込んだものもあります。セラー内には古いコンクリートタンクがあり、主にワインの保管、マロラクティック発酵に使用しています。ステンレスタンクより長期保存に向いており、ワインのフルーティさを残すことが可能です。また、セラーの壁は1m程の分厚いコンクリートで出来ていて、気温が一定に保たれます。白の醸造用タンクは屋外、赤用はセラー内にあり、温度はコンピューターで制御されており、オフィスで常に確認出来る状態になっています。酸化を防ぐために、窒素を充填させて醸造を行っています。